願望を掘り下げる

自分探しと楽しさについて (集英社新書)

夢実現コースhttps://www.aqu-aca.com/seminar/focus15mf/でも、たとえば「お金が欲しい」という願望があったとして、そのお金で何がしたいのか、求めているものを掘り下げます。
そういう分析(ここでは「具体性を排除し抽象化する」と書かれています)はいろんなことにおいて、大事だなと思いました。
ちなみに私が仕事に求めていたのは、結果を人と競わなくていい、一度に大勢とコミュニケーションを取る必要がない、素早さを求められない、スーツや制服を着なくていい、同じことの繰り返しではない・・・など、学校時代に苦痛と感じた条件を排除した上で成立することでした(^_^;)

P132
 ・・・やりたいことと得意なことが一致している人は、なんの問題もない。幸せ者かもしれない。本当は一致してないけれど、一致していると思い込める人も、幸せ者だろう。しかし、人間は変化する。そして、能力よりも気持ちの方がずっと変化が激しい。得意なことはそれほど変わらないが、やりたいことはころころ変わる可能性がある。・・・
 僕は小さいときはペンキ屋になりたかった。今でも、ペンキを塗る作業が大好きだ。けれども、ペンキ屋にならなくて良かった、と思っている。不器用なので、いつも失敗するからだ。大好きなペンキ屋を職に選ばなかったことで、僕は社会に貢献しているはずである。
 どうして、ペンキ塗りが好きなのか。それを考えなければならない。何が好きなのかを抽象化することが大切だ。ペンキの匂いとか、色とか、そういうものが好きなわけではない。こうして具体的なものを削ぎ落としていく。すると、ただ一人で黙々とする作業、その時間、その没頭が心地良い、とわかってくる。僕は最初に研究者になった。この仕事はまさに一人で黙々とする作業だった。ペンキ屋と非常に似ていた。おそらく「楽しさ」は同じものだっただろう。
 このように、自分の願望を掘り下げて、何故それが良いのか、と考え、楽しさの具体性を排除し抽象化すれば、ほかの職種でも同様の楽しみを味わえることが予想できる。そのものずばりに、具体的に拘ることはいかがかと思う。何故なら、同じ職種でも、いろいろな作業があるわけで、絶対に面白くない部分があるだろう。好きだという色眼鏡で見ていると、そういう部分が見えない。見ないようにしてしまうかもしれない。