「ありのままの自分でいる」ことをがんばる

ごちゃまぜで社会は変えられる: 地域づくりとビジネスの話

 「ありのままの自分でいる」ことをがんばる、「なぜかできてしまうこと」を大切にする、すごく大事なことだと思いながら読みました。

 

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 僕は大学生の頃まで、自分のことがとても嫌いでした。・・・

 ある日友達から、「なんでそんなに心開かないの?」と聞かれ、自分でも衝撃でした。そうなのか。だから自分には、友達はいても親友はいないのか、と気がつきました。なので、自分の「心を開けない」部分が特に嫌いでした。だけど、心の開き方がわからなかったんです。それから心を開いて話ができるようになるまで、2年くらいかかりました。なので、僕が人に心を開いて素で関われるようになったのは、社会人になってからです。ずいぶん葛藤したのを覚えています。

 そして、です。取り繕うのをやめて、心を開いて素で関わるようになったら、超楽なんです。人付き合いが。あんなに大変だったのに。これにはびっくりしました。ある日気づいて、びっくりしました。後からわかったのですが、「ありのまま」で生きる。素の自分で生きることが、一番幸せにつながる。これ、お釈迦様もキリスト様も同じこと言ってるらしいです。「人の幸せ」を追求すると、必ずそこにいくのだとか。お釈迦様でもキリスト様でも大仏様でもいいけど、もっと早く言ってよね。

 じゃあ、ありのままで生きるために、どうすればいいかっていうとですね。わかりません。そこまでは(笑)。

 それは、人それぞれなんだと思います。一つわかるのは、「ありのままの自分でいる」ことをがんばるということです。誰かと無理に関わったりしない。そのままの自分を大切にする。合わない人は合わない。その分、合う人、わかってくれる人をとにかく大切にする。そんな感じです。あるいは、訓練でもあります。みんな少なからず、筋トレはしたことあるよね。あれと一緒です。

 ・・・

 ありのままで生きる重要さが、もう一つあります。「成長」の定義についてです。僕が抱いている成長の定義があります。それは「生まれもった自分の武器を自覚し、生かせるようになること」です。

「生まれもった自分の武器」です。新たに身につけたものじゃないんです。

 繰り返しますが、知識や技術を身につけることも大切です。でもそれは、鎧でしかありません。鎧はあったほうがいいけどね。でもそれ以上に、生まれもった武器が重要です。それは、みんなにも必ずあります。生まれつきよく笑う。生まれつき人見知りしない。生まれつき慎重。大雑把。きれい好き。完璧主義。なんでもいいです。要は、訓練もしていないし、頑張ってもいないけど「なぜかできてしまうこと」です。これです。これなんです。これを見つけてください。

 この「なぜかできてしまうこと」を自覚して、生かせるようになることを、僕は「成長」と捉えています。

 魚がどれだけ一生懸命努力して陸で走れるようになっても、生まれつきなぜか早く走れるチーターにはかないません。逆にチーターは、どんなに努力しても、魚に水中で勝てません。努力は、自分に合った環境を選ばないと報われないんです。

 だから、生まれもったものじゃない部分を一生懸命伸ばして鎧にしても、本当の「成長」につながらないんじゃないかと思うんです。自分の「なぜかできてしまうこと」を大切にすることは、自分にとっての適した環境で生きることです。そうして、自分の生まれもった武器を生かせるようになれば、もう大丈夫です。あなたは自分のことを好きになれます。自分のことが好きなら、世界のどこにいても、幸せになれます。

 ・・・ゴールを間違えないでね。前述の「若者へのメッセージ」でも言ったけど、みんなのゴールは勉強ができるようになることでも、立派な人間になることでも、安定した職場に就職することでもないからね。みんなのゴールは、自分の生まれもった武器を自覚して、生かせるようになって、自分を好きになることだからね。

 抽象的な話ばかりになっちゃったけど、頑張らなくてもできることを大切にして、それで勝負してください。そうすれば、あなたは誰にも負けません。