犬を飼う そして・・・猫を飼う

犬を飼う そして…猫を飼う (ビッグコミックス)

 味わい深いマンガでした。

 こちらはマンガの間にあったエッセイで、印象に残りました。

 

P140

 私たちはひと月に二度ほど、家から自転車に乗って十五分ほど走ったところにある広い川原へサスケを連れて出かけてゆく。その日は妻が弁当をこしらえて持ってゆく。川原で半日を過ごす。私たちがゆったりとした気持ちになれる至福の時間だ。ちょっと大げさかな。午後二時頃に自転車のうしろに妻を乗せ、妻はサスケの引き綱を持ってサスケを並走させる。サスケは若い。勢いよく喜んで走る。・・・やがて目指す川原に到着する。ほとんど人影はみえない。片側の土堤には桜並木が延々と続いているので、お花見のシーズンになると多くの人がやってくる。・・・橋を渡って対岸に出る。こちら側の土堤は自然のままで雑木や雑草がおいしげる。深い草むらになっているところもあって、川沿いの土堤を容易には歩けない。それでもサスケを放してやると頭から草むらに突っ込んでゆく。私たちは土堤の脇にある畑の畦道を川に沿って歩く。そして歩きながらツクシやらワラビやら桑の実などを採る。妻は桑の実酒を作るんだと言って、山ほどの実をつむ。その間サスケは草むらから出たり入ったりと大騒ぎだ。体のあちこちに〝ひっつきむし〟のオナモミをつけて出てくる。そのうち畑地に入ってフンフンと地面の臭いを嗅いでいる。・・・

 それから川原の開けた場所のコナラの木陰でひと休み。弁当を広げる。サスケにもモツと野菜を煮込んだ餌を与える。水筒の水も手から飲ませてやる。私たちのまわりにはひとりの人も見えない。私たち以外誰もいない。なんだかこの世に私と妻、そしてサスケだけしかいないのではないかと錯覚するほどの静けさだ。ぽかぽかと陽だまりの中、草の上に寝そべる。空が高く、薄い雲がゆったりと流れてゆく。こんなたわいもないことに幸せを感じていた。仕事のことも忘れる。こうしていると、嘘のように時間の流れも感じられないほど穏やかな心もちになれる。おそらくかたわらにサスケがいることで気持ちがなごみ、私たちは安心できてなんとなく豊かな気持ちになれる。私は目を閉じて、こんな時間がいつまでも続いてくれればいいのにと思いながらうとうとする。・・・

 

 ところで2日ほどブログをお休みします。

 先週は小淵沢でしたが、今度は伊豆のやすらぎの里で開催されるセミナーのお手伝いをしてきます。

 いつも見てくださってありがとうございます(*^-^*)