楽に楽しく

人生はごちそう

 たしかにちょっとしたことで楽になるものだな~と思いつつ読んだところです。

 

P42

 「呼吸は魂に栄養を与えます」っていう言葉があるの。

 この言葉の「魂に栄養を与えます」っていうのは、心が落ち着くってことを表現してるのかしら。

 呼吸を意識すれば、身体と同時に心の中にも栄養がいくっていうことね。

 だから、瞑想って宗教・宗派とか関係なく、西洋でも、東洋でも行われてるんじゃないかしら。

 ・・・

 瞑想っていうと難しそうとか、ハードルが高いとか感じるかもしれないけど、意識して呼吸するだけって考えると、なんだか簡単そうじゃない?

 どこでもできるし、歩いててもできるし、電車で座ってるときでもできるし。こんなありがたいものはないわね。

 鼻から吸って、口から吐いて、それを繰り返す。

 ポイントは、〝意識する〟ってことよね。

 意識して呼吸することは、ある絵描きさんとお話ししたときに教わったの。

 彼は、「僕は起きる前と寝る前の約30分間、意識して深呼吸してるんだ。ただ単に深呼吸をするわけじゃない。息を吸って吐いて、今、息がどこにあるかを肩、胸、お腹、足、つま先って、ぜーんぶ意識するんだ。すると、その部分がポカポカ、ポカポカして、指先とかつま先も、もうズキズキするくらい反応するんだよ」っていうことをおっしゃってたわ。

 その話を聞いて、深呼吸しながら、身体の部位を意識するだけでいいんだって思ったの。マッサージとかに通う必要も全くないし、ジムに行かなくてもいい。意識して呼吸するだけで、血の循環がよくなっていくみたい。

 彼の深呼吸の話が、とっても印象に残ってるから、ふと思い出しては、ゆっくり深呼吸をするようになったの。目を緩く閉じて、肩、胸、足、ひざ、つま先って、身体の部位をたどって、「それぞれに連絡取ってね」なんて伝えながら呼吸を意識すると、本当にそこら辺にポカポカ、ポカポカって反応があるわ。

 

P80

 私が思うセンスがいい人は、すごく小さな、ありふれたことの中に、幸せのかけらを見つけることができる人。

 たとえば、バスや電車が混んでてイヤだと思ったりしないで、「ああ、ここにいる人たちがみんな何かの劇の役者だったりしたら、あの人はどういう役が合うかしら」って考えたり、「自分が作家だったらどういうふうにこの状態を描写するかしら」と思ったり、少し視点を変えたりして周りにあるありふれたことを楽しめるっていうことなの。

 家でお皿を洗うときも、「さっさとやらなきゃ」って思って洗うよりは、泡で汚れを落としながら「なんて気持ちがいいのかしら」って思えると食器が綺麗になると同時に自分の心もなんだかスッキリするわね。

 こういったどうってことのない、本当にささやかな何気ないことをいちいち喜ぶ。そういう幸せのかけらを見つけて喜べる人をセンスがいいなと思うわ。

 

P144

 細かいところにこだわったりしない。

 文章をどんなに確認しても、直しても直しても直しても、誤字脱字とか、間違いとか、落丁とか、印刷漏れとかがあったりするの。

 文筆家の林語堂さんは、そういったものに対して、「読者が喜んで、『ここは違う。あそこは違う』なんて言っても構わない。理由はただ単に、そんなこと大したことじゃないから」みたいなことを著書『生活の発見』(創元社)に書かれてるの。

 その話を読んで、すごく気がラクになったわ。

 それからは、自分を許せたり、失敗を許せたりするようになったのよ。

 言葉の言い間違いとか、誤解されるような態度を取っちゃったりしたときとか、「あー、でも悪気がなかったんだから、まぁいいや」って思えるようになれたわ。

 自分にとっては大した問題かもしれないけど、世の中的には大したものではないよってね。文字の間違いとか、どうってことないのよ(笑)。