アホになる修行

アホになる修行 横尾忠則言葉集

 横尾忠則さんのエッセイ、対談、インタビュー、ツイッターなどから、ピックアップしてまとめられた本、印象に残る言葉が溢れていました。

 

P16

「わかる」って実につまらないことだ。

「わかる」ことより「わからない」ことの領域の方がうんと広い。

 

P42

 目的も持たない、

 想像もしない、

 考えさえもしない。

 これ最高です。

 

P48

 自分にウソをつかないというのは、

 他人にウソをつかないというよりも難しい。

 自分にウソをつかないというのは、

 あやふやな心に対してでなく

 魂の声に忠実であるということである。

 

P55

 自分が思っている「自分」が

 本当の自分だと思っているところに

 まず問題がありそうだ。

 ストレスを作っている要因は

 だいたい自我というやっかいな存在である。

 

P65

 芸術っていうのは

 役に立たないことをやる仕事だよ。

 世のため、人のためなんてウソだからね。

 役に立たないからこそ、

 実は役に立っているってわけ。

 

P78

「あれ嫌い」「これ嫌い」と

排除するのではなく、

「あれ面白い」「これ面白い」と

楽しめばいい。

 

P83

 昨日の自分ではない自分を

 経験しようと思う意志が、

 すでに自分の常識からの脱却だ。

 自分の中にトラウマみたいに巣食っている

「常識」という名の恐れに

 愛想をつかせばいいのである。

 

P91

 経済を幸、不幸の基準にしている間は、

 人間の内面は停止したままだ。

 

P96

 時々ハッとするほど上手い絵を見ることがある。

 それは大抵素人の描いた絵だ。

 デッサンは狂っているが、

 どうしたらこのように上手くデッサンを

 狂わせることができるのだろう。

 何が上手いかというと、

 そこには邪心がなく、

 その人がそのまま自然体になれているからだ。

 そして大胆である。

 ちっとも上手く描こうと思わず、

 評価などもいっさい頭にないからだ。

「描けちゃった」のだ。

 絵は描こうとするものではない。

 絵は描かされなければならない。

 でないと「描けちゃった」というような

 絵は生まれない。

 まだ自分の絵だと思っている間はダメだ。

 自分から離れて初めて自分の絵になる。

 何かしたいというのは

 こちらの作用だと思っていたが、

 そうじゃなく向こうからやってくるものだ。

 その時は全て準備されてやってくる。

 だから無理しなくてもいい。

 無理以上のものは要求されないから。