この世にいながら、この世にいないような存在に

アホになる修行 横尾忠則言葉集

 この辺りの言葉も印象に残りました。

 

P114

 一瞬一瞬が移り変わっていく。

 刹那にしか生きていない自分を認めてしまえば、

 あとは人生を楽しむしかないじゃないですか。

 

P144

 常に初心で見て、

 結果を考えずにそのこと自体を楽しむこと。

 そして好奇心を持ち続けること。

 これが創造の必要条件です。

 

P181

 何度でも反復する。

 変化とは反復を繰り返すことだ。

 反復は同じことを繰り返すこととは

 違うのだ。

 

P237

 知識人は「死んだら無になる」と言う。

 ぼくは死んで無になりません。

 むしろ常に自らを死の領域に置いて、

 この現在を眺めるようにしています。

 生から死を見ると何も見えないので

 無だと言っちゃうんじゃないかな。

 ・・・

 この世にいながら、

 この世にいないような存在に

 なれたら最高だね。

 

P267

 黒住教の・・・六代目教主黒住宗晴さん(現教主は黒住宗道氏)と懇意にしており、ある時、黒住教の教義は何ですかと聞いた。日の出を拝む日拝で天照大神と自分が一体になる「天命直受」という宗教体験ぐらいで、あとは「アホになることですかね」とおっしゃった。

 ・・・

 一体、アホになるとはどういうことなのであろうか?

 ・・・

 蕭白の絵に寒山拾得がしばしば描かれる。・・・

 ・・・寒山拾得にぼくはアホの相を見るのであるが、余りにも得たいが知れず、ぼくには説明ができない。あえて言うなら、アホになるというのは自分の気分で生きるという自信を持っているということ。世の中はわからないことで動いているが、知ったかぶりをせず、これがいいと思えばやるしかないという生き方を実践する人間のことではないだろうか。