天職とは?

吉本ばなな 奥平亜美衣 自分を愛すると夢は叶う

 何かハウツー本ぽいタイトルですが(;^_^A、中身はお二人の落ち着いた対談で、興味深く読みました。

 こちらは天職とは?好きなことが仕事になるか?というお話です。

 

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ばなな たいてい「すでにしていること」が天職だと私は思います。少なくとも、やったことがないようなことではない。「すでにしていること」、あるいは「やらざるを得なくなったこと」だと思います。

 ・・・

亜美衣 ばななさんはペットをとても大切にされていますが、ペットのお世話とか、いかがでしょうか。

 

ばなな いえ、向いていないですね。例えばベビーシッターさんは、もちろん子どもは好きでしょうけど、だからといって、子どもが好きだからだけでやっているわけではないと思います。私は、自分のペットは心を込めて世話できます。でも、人様から預かっているペットを好きになりすぎない自信がないし、きっと冷静さを欠いてしまいます。好きすぎて思い入れすぎて仕事にならないと思います。

 ベビーシッターの例でいうなら、なぜか親ごさんが帰宅せず、連絡がとれず、「自分が帰ってしまったら、この子があと5時間、一人になってしまう」という状況になったら、「5時だから帰るね」って私はできません。無料でいたりとか、自分の中で「よくない仕事のサイクル」に入る気がします。線が引けないんです。「これ以上入ってしまったら、この子にとってよくない」という判断ができません。

 以前、イルカショーの裏方のアルバイトをやりたいと思って、探したことがあります。経験者の話を聞いたら、「デッキブラシで掃除しているとイルカと目があって、こうやって出てきて、こっちにおいでよって誘うんだよ」って。それで、遊ぶんだっていうんです。

 そんなことがあったら、きっと、水槽から出してあげたくなるだろうし、水族館での人間関係よりも、イルカとの関係のほうが大事になってしまいます。

 例えば「経営が困ってるから、もっとイルカを働かせてくれ」と上司に命令されても従えないと思うんです。そう思ってやめました。

 好きだったらなんでもできるわけではなくて、もっと苦しむこともあると思います。「好きだけど、さじ加減できる」のが、天職の特徴だと思います。