好きが仕事になると

マツ☆キヨ

「好き」を仕事にすると大変…まあ確かに…でも嫌いな仕事をしているよりはマシかもとも思いますが…好きかどうかはともかく、得意なこと、それほど苦も無くできることが仕事になっている、というのが一番いいのかも?と、ここを読みながら思いました。

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マツコ アタシね、趣味で女装をやっている頃は、ほんとに幸せだった。いまはもう、それが仕事になっちゃったでしょ。だから、女装に代わる趣味なんて絶対にないんだけど、なにかあとひとつくらいは趣味がないといけないなと思っている。

池田 趣味が仕事になっちゃうと大変なんだよな。

マツコ 実はものすごくストレスよ。唯一にして最大の癖であり趣味だった女装が、金銭を稼ぐ道具になってしまうと。最近は女装をするにしても一種の解脱感を覚えるというか。「そうねえ、何をやったって、人生なんて……」みたいな、ちょっとやさぐれた感じになってきちゃうのよ。

池田 よく、「好きなことを仕事にした人は幸せです」とか言う人がいるけど、違うよな。

マツコ 絶対に違う。『anan』なんかでそういうふうに書いてあるのは大ウソよ。

池田 好きなことを仕事にしちゃうと、仕事以外に好きなことがなくなっちゃうから、大変なんだ。

マツコ ほんとにそうよ。仕事が楽しいわけがないのよ。「仕事が楽しい」なんて言っている人はね、ちゃんと仕事をしていない!仕事はね、疲れるものなのよ!

池田 まったく、その通りだな。虫捕りにしても、仕事にしてしまうと大変だろうなと思うもの。
 虫を捕るのを商売にすると、たとえば「これと、これと、これ」というふうにお客に注文されたらそれを捕らなければいけなくなるでしょう。そうすると、義務のようなものだから、相当にきついと思う。天候が悪くても、自分のコンディションが悪くても、捕らなければいけないという場合も出てくるわけだから。・・・

マツコ わかる、わかる。アタシもやっぱり、やりたいと思ったときにやるのがいいんだなと思った。「何日と何日にやる」と決めてしまったらもう、その段階でそれは趣味じゃないよね。アタシなんて、せいぜい一週間か二週間に一回程度、女装すれば、それでいいくらいなんじゃないかと思う。それなのに、こんなに毎日のようにやっているんだから……。

池田 もう、いいかげんにイヤだな、と思うでしょ?

マツコ そう。なんかね、だんだん女装が雑になってくるんだよね。これではいけない、と思いながらも。
・・・
池田 ・・・もちろん、あんまり嫌いなことをやっているとストレスが溜まるけど、そこそこできることだったら、それをやりながら、「これが終われば次に楽しいことができる」と思っているのが楽しいよな。・・・

マツコ イヤだけど、アタシも、素顔でテレビ出ようかな。で、週に一回くらいだけ女装する。それで、「明日は女装できる」と思ったら、生きる意欲が湧いてくるかもな。「女装したい」「女装したい」という強い気持ちが明日への活力となって。

池田 そうかもしれないな。

マツコ 何、この対談?「女装したい」「女装したい」とかを活字にしていて、頭、大丈夫か!?(笑)