伝わるともっと話したい

星野源 ふたりきりで話そう (AERAムック)

  一冊目の雑談集もまとめた方と、最初にこんなやりとりがありました。

 

P7

― ・・・つくづく思いますけど、単行本『星野源雑談集1』の頃から構成を担当してきて、星野さんは本当に雑談上手だなと。

 

星野 そうですか?

 

― うん、相手の話を引き出すのがうまいですよね。

 

星野 ・・・そもそもそんなに話すことがないんですよ、自分について。対談とは言いつつも、むしろ僕がインタビュアーみたいになっていて。

 ・・・

― 「音楽の話をしよう」では、毎回ゲストの方に好きなCDを1枚持ってきてもらいましたね。ほとんどの人が悩みに悩みぬいて。

 

星野 うん。でもあれは聞き方を間違えたなと。その場でパッと聞くほうがいいのかもしれない。・・・いや、何でかというと、当初の考えでは生涯の1枚を選ぶとしたらっていう話がしたかったんです。

 

― あ、そうでしたね。でも1枚なんて選べないよっていう意見もあって。

 

星野 やっぱり事前に考えてもらうと悩んじゃうんです。おそらくその場で、何でもいいから生涯の1枚を選んでくださいって聞くと、面白い答えが返ってくるんじゃないかなって。・・・

 ・・・

― 星野さんは相手が聞かれたくないと思うようなことは聞かないし、しゃべりたいと思ってることをいつもすくい取ってあげてる気がします。

 

星野 そうだとしたら、うれしいです。

 

―質問するというより、相手が気持ちよく話せる流れをつくってあげているというか。

 

星野 もっと話したいなって思うのは、やっぱり気持ちが相手に伝わったと思う時なんですね。この感覚が伝わるんだと思うと、その相手に対して「じゃあこれ伝わる?」って、さらに違う話をしたり、開けたことのない引き出しを開けてみたりすることがあって。人と話す時に大事なのは、信頼してもらうことだなって思います。

 

― そうですね。だからこの雑談連載は、相手の話をちゃんと聞いて、相手のことを理解しようっていう場になってる気がして。