仕事の話

SWITCHインタビュー達人達 林修×岩瀬大輔 (SWITCH INTERVIEW達人達)

 林修さんと、業界初のネット専業の生命保険会社を立ち上げた岩瀬大輔さんの対談が本になったもの。お二人とも会話の受けと返しが素晴らしく、面白かったです。

  

P99

岩瀬 いままでも本当にいろいろなことがあって、その都度、試行錯誤をしてきました。そんななかで思うことがあるのですが、やっぱり大切なものって、簡単には手に入らないんですよね。逆に言えば、簡単に手に入れられるものって、そんなに大したものじゃないのかもしれないという思いもあって。苦労して、試行錯誤して、失敗して、恥ずかしい思いをしながらじゃないと、大切なものって手に入らないんだと思うんです。

 だから、いまの会社も上手くいかないことが山ほどあるんですけど……そんなことを信じながら、いい仲間たちと一緒にがんばっている感じですね。「部下」という感覚はないんです。

 

P115

岩瀬 ・・・朝から晩まで、家族といるよりも長い時間を過ごすのが職場というものですよね。22~23歳から、我々が停年するころには70歳ぐらいまでになっているかもしれませんが、そうやって人生の大半を費やすことになる。そう考えると、やっぱり僕は、仕事というものは本当にいい仲間とやりたいと思います。

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岩瀬 この仕事を始めるときに、ある投資家の方に言われた言葉をすごくよく覚えています。それは「せっかく一回きりしかない人生なんだから、思いっきり挑戦して生きるべきじゃないか」という言葉だったんです。それと同じ言葉を、いまの若い人たちにも送りたいですね。

 

林 例えば、「仕事が単調でつまらない」と言って、すぐに会社を辞める人もいると思います。5ヶ月で就職先を退社した僕が言える話ではないですが(笑)、そんな人にはどんな声をかけますか?

 

岩瀬 これはたぶん、「責任」とおっしゃった先生も同じ考えだと思います。つまらない仕事なんてないと思うんですよね。つまり、仕事というものは、つまらないとかおもしろいではなく、仕事は仕事だろうと。

 

林 そうですね。僕もそう思います。

 

岩瀬 だから、それをおもしろくするかどうかは、結局は自分次第なんですよね。一見単調な仕事でも、それを楽しんで上手にやっている人はいるんです。どんな仕事でも、その人の心持ち次第では、おもしろくもなるし、つまらなくもなる。それなら、目いっぱい楽しくやろうぜと。そういったことを僕は言っていますね。

 

林 僕は高杉晋作の辞世の句をよく使うんですけど、「面白きことなき世を面白く、住みなすものは心なりけり」と。まあ、まわりにおもしろいことがたくさんある人、特に仕事をそんなにおもしろいと言える人がいたら、それはすごくラッキーだと思うけれど、僕自身はそういう人間ではないんですよね。なので、岩瀬さんがおっしゃるように、どういう心持ちでそれをおもしろくしていけるかということが大事なんでしょう。・・・