プロフェッショナルに出た方々のお話、もう一度読み返したいくらい大事なことがぎゅっと詰まっていました。
こちらはイトーヨーカドーの中国の店舗を束ねていた三枝富博さん。
P27
「結局、自分が変わらなかったら人を変えることはできないんですよね。それを本気でやるかどうかが大事なんだなと思うようになりました。だって自分一人でできることは少ないのですから」
こちらは岡山のチーズ農家、吉田全作さん。
P48
「自分の思ったことを実現するためには、いろんな道がありますよね。簡単そうに見える道とか、しんどそうな道とか。そのときは、必ず面倒くさいほうを選ぶんです。そうすると必ず成功しますから。面倒くさいことは誰もしないし、面倒くさい道のほうにヒントが転がってると、経験的に学んでいるので」
こちらは千葉の野菜農家の浅野悦男さん。
P123
「自然の前では、ずっと一年生」。この道五〇年でありながら、駆け出しの心持ちを今も大切にする浅野さんは、身近な野菜が持つ新たなる可能性をも見つけることになる。
たとえば、ダイコン。・・・
・・・あえて花が咲き、種が育まれ、やがて枯れ落ちるまで、ダイコンの一生を一通り観察するところから始めた。そして、おもしろい発見をした。ダイコンの花や種さえもが、ダイコンの味がすることに気づいたのだ。それどころか、ダイコン以上にしっかりとした辛みのある味だという。
・・・
浅野さんは、思いこみを捨てて、謙虚に野菜の一生と向き合うなかで、これら捨てられてきた部分に高い商品価値を見いだすことができた。価値はすでにそこにあって、人間の側がそれに気づけるかどうか。浅野さんの勝負は、畑に無限に広がっていく。
・・・
「不満足が一番いい、常に満足しないほうが。最後に満足できると思えばいいの。ずーっと行って最後に死ぬときに、俺は満足できたと思えばいいだけだもん、ふふふ」
浅野さんの夢は、畑のなかで最期を迎えることだそうだ。