メンタルトレーニング

直撃 本田圭佑 (Sports Graphic Number)

 以前、「リトル・ホンダ」の声を聴くという話から、色々と本質的なことを大切にされている方なのではと思っていて、インタビューが集まった本を読んでみました。

 本田圭佑さんのメンタル・イメージトレーニングの徹底の仕方は、すごいなぁとびっくりしました。超一流の集中力を持っているのだなと。

 たしか手術の技術がすごい医師も、術前の準備でほとんどのことは終わっている、と言っていたなと思い出しました。

 

P26

「このメンタルのことを話すと長くなるからねぇ。まあ、オレが引退するまでに、メンタルのことを聞き出してくださいよ」

―企業秘密的なところがある?

「そんなことはない。ただ、次の試合でファンボメルがこうプレッシャーにくると口で言うのは簡単やけど、意外にそれを頭に叩き込むのって簡単な作業じゃない。ぱっとイメージすることはできる。でもそれが頭に入ったのかが大事なわけで、だから繰り返しイメージしないと、洗脳されていかない。繰り返し、繰り返し、何回やれば洗脳できるのか。オレ自身もまだわかっていない」

―それが本田くんにとっての〝洗脳〟?

「オレが使っている言葉が正しいかどうかは別にして、洗脳って漢字で書いたら、洗う脳ってなる。あえて言うなら『自分宗教』みたいなもの。自分の哲学を繰り返しイメージすることで、頭の中に出てくるようにする」

―うまくいけば、それがスッと試合で出るということ?

「出ないこともあるからね。オランダ戦も失敗した。オレの中では準備がすべてやから。勝負の前に、だいたい勝負は決まっている。だから実際に勝てると思っているときは、ほとんど得点に絡めている。ロシアリーグの開幕戦もそう、CLのセビージャ戦の決勝ゴールもそう、カメルーン戦もそう、デンマーク戦もそう。岡崎のゴールもそう」

―あそこまでイメージしていたとは。

「イメージしていけると思うときに、高確率でいい結果が出ている。つまり、今オレが取り組んでいることが、形になりつつあるということ。このやり方が、正解に近づいているというのは事実」

―そういう思考の準備がカギを握っているというのが、本田くんの考え。

「まあ、オレはね。オレのやり方は普通、サッカーではありえへんと思う」

―よくサッカー選手は暇と言うけど、本田くんの場合違いそうだ。

「ぜんぜん暇じゃない。家にいるときが勝負。でも、何かをやっているときに、考えることができないから。1時間でも、30分でも、そういうひとりの時間を作らないといけない」

―禅を組むじゃないけど、静かな雰囲気にしてやる?

「風呂に入っているときとか、寝る前とかだね。そういう時間を大切にしている。誰かといっしょにいるときというのは、なかなか簡単にイメージできない」

―ぐーっと入っていく感じ?

「目をつぶってね。まあ、まだまだ発展途上ですよ」