試せばできる

モバイルハウス 三万円で家をつくる モバイルハウス  三万円で家をつくる (集英社新書)

 2万6千円でモバイルハウスを作ってみた、その考えの原点や、やってみて広がった世界について、書かれた本を読みました。思い込みがまた一つ、外れた感じです。

 多摩川ロビンソン・クルーソーとは、3者が権利を争ったまま放置されている(ゆえに住んでても一度も文句を言われたことがないとか)土地に、自分で家を建て、畑も作って自給自足に近い暮らしをしている方のことです。

 

P123

 人間は思いつくけれども、なかなか試さない。なぜなら、試すということにはいつも危険が潜んでいるから。でも人は試さないと次へ進めないのだ。僕がこのモバイルハウス計画をやっていて、いつも感じたことだ。

 多摩川ロビンソン・クルーソーは僕に、「人間というものは実はなんでもできるんですよ」と言い放ち、僕を鼓舞してくれた。そして、不動産屋を回りながら探すと、ほんの二、三日で駐車できるスペースを賃借することができた。

 太陽光で自家発電も簡単にできたし、iPadも簡単に使用できた。

 僕は気付いた。

 なんとこの世は自由なのだろうか、と。

 本当はどんなことでもできるのである。できないことは何もない。試しさえすれば、行動すれば結果がついてくる。考えて、考えて、徹底的に考えて、手を動かせば、自分の思い描く世界がそこに広がるのだ。

 この不自由になってしまったと思い込まされている日本という社会でも。

 実は僕たちは自由なのである。

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P183

 僕はモバイルハウスを売り込みたいのではない。それは一つの方法というだけだ。僕が切り込んでいきたいのは、やはり銀行券だけで管理されてしまっている、今の人間の住まいである。土地を所有せずには生きていけないという社会システムだ。そのための、一つの具体的な提案としてモバイルハウスはある。・・・

 多摩川ロビンソン・クルーソーこと船越保雄さんとのモバイルハウス建設の過程は、映画監督本田孝義氏によって映画化された(「モバイルハウスのつくりかた」。二〇一三年、DVD化)。・・・

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 なんでも試せば、意外とすんなりできてしまう。これが僕がモバイルハウスを建て、実感したことである。人間は忙しすぎて、試す時間を失ってしまっている。・・・

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 試そう。僕が言いたいのはこれに尽きる。人の言うことばかり信じていないで、自分の頭や手や足を使って体験したことを基に生きる。・・・

 一人の変化。それが僕にとっては社会の変化だ。・・・


映画『モバイルハウスのつくりかた』予告編