自分にとっていいやり方

天才たちの日課 女性編 自由な彼女たちの必ずしも自由でない日常

 オクティヴィア・バトラーさんという作家とマーガレット・バーク=ホワイトさんという写真家の話、こんな早起きをすることはありませんが(;^ω^)、元々かなりマイペースなタイプなので、そうだよな~と共感して読んだところです。

 

P22

 バトラーはカリフォルニア生まれの作家で、十二歳のときにSF小説を書き始めた。・・・

 ・・・人のやっていることを見てわかるのは、みんな、それぞれのやり方を模索しているということ。うまくいった人は、自分にとっていいやり方を見つけたわけ。たとえば私は午前三時か四時に起きるけど、それはその時間帯が自分にとって書くのにベストな時間だから。そのことに気づいたのは偶然だった。・・・バトラーは多くの時間を自分ひとりで過ごしていて、それが「非社交的な暮らしを好む」作家には快適だったようだ。「私が人との交わりをいちばん楽しめるのは、ひとりでいる時間がじゅうぶんにあるとき」一九九八年にそう述べている。「以前はそんな様子を家族に心配されて、そのせいで自分でも心配していた。でも、ようやくわかったの。これが私なんだ、それでいいんだと。誰でもちょっと変なところがあるわよね。これが私の変なところ」

 

P100

 バーク=ホワイトは報道写真家の草分けで、「初」の称号をたくさん持っていた。たとえば、ソ連に入ることを許された初の西側カメラマンであり、アメリカ合衆国発の女性従軍記者であり、・・・いっぽう彼女は才能ある作家でもあり、・・・そして、その仕事をするときは、きわめて規律正しい習慣を維持していた。・・・

 ・・・

 朝、世界は清らかで新しく、イマジネーションを得るのに最適の時間だ。私は変わったスケジュールに従っている。それは家族に対してなんの義務も持たない人間だけに可能なスケジュールで、八時に寝て四時に起きるというものだ。・・・

 ・・・「日が昇るころには、自分だけの世界に閉じこめられて、なにものにも邪魔されない」

 この最後の部分がとても重要だった。バーク=ホワイトは執筆のために長時間ひとりでいなければならず、邪魔をするものは可能なかぎり排除しなければならなかった。そしてそれが他人には受け入れがたいということにも気づいていた。「私がいつもひとりでいようとするせいで、ときには人の気持ちを傷つけてしまうのではないかと心配だ。でも、どうしたら人を傷つけずに自分の気持ちを説明できるのかわからない。私は自分が書いている世界に完全にひたっていたい。いったん誰かが家に来たら、その人の声を家のなかから消して、自分の書いている人物の声をきけるようになるまで、二日もかかってしまうからだ」。実際、バーク=ホワイトの友人や同僚は、彼女がいつも仕事のことばかり考えているせいで気分を害することがよくあった。『ライフ』誌の女性カメラマンの二ナ・リーンはこういっている。「初めて彼女に会ったとき、いっしょにランチをしませんかといったら、いま本を書いているところなので、あと数年はランチをするつもりはないっていわれたわ」