なんとかなる

放っておいても明日は来る― 就職しないで生きる9つの方法

 屋久島で、自分の建てた家(汚くて人が入れないと書いてありました 笑)に住み、ネイチャーガイドをしている野々山さんも、面白い方だな~と思いました。

 

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高野 大学を卒業するときに就職活動とかしなかったんですか。

野々山 サラリーマンになるなんて考えたこともなかった。好きなことをやっていこうと思ってたから。

高野 好きなことってどんなことだったんですか。

野々山 子供の野外教育とか環境教育っていうのをやりたかったんですよ。夏休みとかに子供を受け入れて自然からいろんなことを学ぶような。

高野 自然の中で何かするっていうのは昔から好きだったんですかね?

野々山 学生の頃、植村直己さんが行方不明になったんだけど、植村さんは日本に帰ったら子供の冒険学校をやりたいって言っていて、オレもそういうのをやりたいなあって。一応今でもそれが夢なんだけど。

 ・・・

高野 土地を買って、住む家は自分で建てたんですよね。

野々山 屋根まであげたところで金が尽きたのね。だから二年間くらい壁がないまま周りを透湿シートで覆って過ごした。風が吹くとバタバタうるさいんだ。

高野 電気もなかったんですか。

野々山 最初はなかった。だから家を建てる材料を切るのにも電動のこぎりが使えないの。全部手で切った。だから正真正銘の〝自力〟でつくった家だよね。耐寒訓練だと思って暖房も入れなかったけど、なんともなかったよ。今もないけど。

高野 ……。

野々山 そんな驚かないでよ。同じ探検部じゃん(笑)。

高野 そういえば今も風呂もシャワーもないですよね。

野々山 うん、水浴びで充分。もちろん外でだけど。

 ・・・

高野 そうやって屋久島に住んでガイドの仕事をして、野々山さん自身は何か変わったことはありますか。

野々山 うーん、あんまり変わらないと思うけど。ますます何をしてようが、好きなことをしていてなんとかなる、という思いを深めましたね。

高野 それ、昔からでしょう?(笑)

野々山 なんとかなるんじゃないかと思っていたけど、本当になんとかなるって。それは良い出会いだったり、良いタイミングが重なって、好きなことで食えるようになったんだけど、ほんと幸運だよね。

高野 そういえば昔「オレは好きなことだけをしてきたけど、好きなことは必ずしも楽なことではない」って言っていたでしょう?珍しく良いこと言うなあって思って、聞いていたんですけど。

野々山 そう、楽なことを選んだことはないよね。

高野 それはどういうことなんですか。

野々山 好きなことだってシンドイじゃない?アフリカへ怪獣探しに行くのだって肉体的なシンドさがあるし、決して楽ではないよね。人間、何したって楽なことはないと思うんですよ。だけど何しても楽じゃないなら、好きなことをしたほうがずっと得。

 ・・・

高野 自分で好きなことをやっていると、必ず返ってきますよ。良いことも悪いことも。

野々山 そうそう。だから後悔したことはない。反省はいつもするけど(笑)。・・・