すごい発明

10分後にうんこが出ます―排泄予知デバイス開発物語―

昨日に続き、こちらも失敗からのすばらしい話。
「10分後にうんこが出ます」という、目を引くタイトルの本を読みました。
「排尿予測デバイス」を開発した方の話で、どんどん協力者を巻き込んでいく過程など、興味深かったです。
「排便予測」の方はとても難しい、という話で本が終わっていたのでHP https://personal.dfree.biz/を見たところ、まだ商品化にはいたってないようですが、「排尿予測」だけでもすごいことですよね。

P12
 驚かないでほしい。僕は留学中のアメリカで、30歳の誕生日を目前に控えたある日、突然、うんこを漏らしてしまったのだ。
 本当に大事件、大事故と呼ぶにふさわしい転機だった。僕はアメリカ・カリフォルニア州バークレーの道端で、ズボンを履いたまま、自分のお腹に溜まっていたものを全部ドバーッと漏らしてしまったのだ。
 そして、その瞬間から僕の人生は大きく変わった。
 なぜか。
 この事件以来、僕は「どうすれば同じ悲劇を繰り返さないで済むか」を四六時中考えるようになったからだ。
「一生、うんこをしなくてもよくなる手術ができないものか」
「うんこが体外に出る時に自動的にラップされて出てくる仕組みは作れないか」
「うんこの臭いを消すことはできないか」
 熟考に熟考を重ねたが、僕に実現できそうなものは何ひとつなかった。現実的にできそうなことを考え抜いた結果、僕は一つの結論にたどり着いた。
「そうだ!うんこやおしっこを止めることはできないにしても、『何分後に出るのか』を予知することはできるんじゃないだろうか。そんな装置を開発すれば、出るまでの時間に余裕を持ってトイレを探すことができる。そうすれば、もう漏らすことはないんじゃないか」
 自分なりの解決方法を見いだし、その装置の開発を決意した僕は、今では、うんこやおしっこについて人前でオープンに語るようになっている。自分でうんこを漏らすまでは、まさか自分がこんなにフランクにうんこやおしっこを語ることになるとは、夢にも思っていなかった。
 ・・・それはうんこが「汚いもの」「隠すべきもの」という認識が社会で共有されているからだ。
 うんことは誰もが毎日のように付き合っている。それなのに、うんこに関する情報は社会で共有されていない。ずっと個人の中に溜めこまれてきた。
「これは大きな社会的損失ではないか」
 いつしか僕はそう考えるまでになっていた。
 ・・・
 ・・・そして僕は同時にこうも思った。
「排泄の悩みを解消することは、社会的に大きな意義のある仕事だ。これを自分の一生の仕事にできないだろうか」
 人生はいくつもの偶然が、不思議なタイミングで噛みあった時に転がっていく。僕にとって2013年9月のあの日は、ビジネスのための米国留学と、うんこを漏らした体験が社会的意義でつながった瞬間だった。
 人はこれを「奇跡」と呼ぶのかもしれない。
 DFreeはいくつもの偶然が重なって生まれた商品だ。着想、開発、そして完成に至るまでの道のりには、奇跡的な出会いが数えきれないほどあった。・・・