イメージトレーニング

ミスタープロ野球・魂の伝言 「100年インタビュー」保存版

 ヘミシンクを聴いていて、ガイドさん?が長嶋さんの姿になって、メッセージをくれたことがあったので、なんとなく気になって、長嶋さんの本を読んでみました。有働由美子さんがインタビューしたものをまとめた本、面白かったです。 

 

P80

―あの、天覧試合の前日に、イメージトレーニングをされたって。

 

 ええ。普段からね。前もって、そういう相手ピッチャーの予測とか、このチームとの試合はホームラン一本とか、あるいはヒット何本とか、自分で口にして、それをしょっちゅうやっては、試合に出てましたからねえ。

 それがまあ、自分の野球のやり方で、自分の中では試合の展開が、もう前もって決まってた。そういう気持ちが強いから、まず負けることはないよね。それでも、いざ試合になったら、負けるゲームはありますけどね。

 で、六月二十五日の天覧試合の時はね、前夜のイメージでは、サヨナラホームランもたしかにありましたね。

 ましてや、この日は特別の、昭和天皇が初めてご覧になる試合ですからね。ロイヤルボックスから、身を乗り出されてね。そして皇后様の、あの、何とも言えない優しい笑顔、ね。

 だから自分でも、絶対に打ちたい。一生懸命プレーして、活躍する姿を、ぜひお見せしたいっていう気持ちがね、溢れていましたね。

 そう、僕の野球人生の中でも、やっぱりいちばん大事な試合ですね。

 

P123

 よく僕の、汗水垂らして練習している姿はイメージできないって言われるんだけど、僕は皆さんの前では練習はやらない。やるのはもう、家に帰ってからか、遠征中などはホテルの部屋でやるか、どっちかです。

 それも一人で、自分一人でやる。チームにはコーチ陣もいるけど、僕の場合は、コーチに教えてもらおうにも大勢見てる人がいるでしょ。だからね、一人で部屋に戻ってスイングをする。部屋を真っ暗にしてね、一人でバットを振る。

 試合が終わると自宅に直行してね。地下室の電気を消し、神経を集中して、暗闇の中でバットを振ると、さっと空気を切り裂く音がする。その音のする位置が体の中心、真ん中で、理想のスイングであれば、びゅんと音がする。その一点の快音のする位置を求めて、ひたすら振り続けるわけだね。

 その位置が外れると、音はしない。だから、僕の場合はね、音が発する位置を見ながら、スライダーやカーブ、フォークの球種や、内角、外角、高低のコースを、音によって見極めるんだよね。

 ・・・

 それで、こうピシッとスイングが決まると、よし、明日はこのスイングでいこうと。とにかくね、音は大事ですよ、音は。そういうバットの音で調整する僕の練習法が、他の選手にどれだけ解るかわからないけど。