ときをためる暮らし

ききがたり ときをためる暮らし (文春文庫) あしたも、こはるびより。: 83歳と86歳の菜園生活。はる。なつ。あき。ふゆ。

トレーナー仲間のひでさんから「人生フルーツ」という映画を教えてもらいました。
ちょうど再上映されてて、観たい♪と思ったものの時間がとれなくて、本を読みました。
すてきな内容でした。
これは「あしたも、こはるびより。」の、おわりにの部分です。

 天火ちゃん(1歳3か月)が、前に座っています。英子さんが「ハイ、チーズケーキよ」と、手作りのお菓子をすすめました。となりのお母様が、スプーンで一口もっていくと、目を輝かせて私をみつめました。「おいしい」と言葉に出せなくても、からだ全体で表現しています。自分のものがなくなると、お母様の分を指差して「もっと」とせがむのです。
 おそらく、彼女にとって、チーズケーキは初体験だったでしょう。でも、<見て、感じて、おどろいた>ことが、なんともわかりやすく、私たちに伝わってきます。「よかったね、天火ちゃん。おいしいもの、いいもの、ホンモノがわかってくれるのね」と、英子さんと私は<小さなおともだち>に感動しました。
 たくさんの言葉も説明も、必要ありません。<見て、感じて、おどろく心こそ、大切よ>と、レイチェル・カーソンさんは言っています。『センス・オブ・ワンダー』の世界が、ここにありました。・・・
 ・・・考えるより、見ること。本質的なことは、見ることを学ぶことなのかもしれません。見ているときに考えたりすると、見る力が弱くなって、何も見ていないことになりそうですから。