よかか。

84歳の母さんがぼくに教えてくれた大事なこと

 よかか、と始まると、うんうん、と聞きたくなります。

 

P128

ひとなり。母さんはなんも言わん。

勉強しろとも、我慢しろとも、人より努力しろとも、

勝てとも、命をかけろとも、死ぬ気でやれとも、

根性出せとも、言わん。そんなこと一度も言ったことなか。

ただ、自分を大事にせんね、とだけ言わせて。

無理したらいけん。

 

P155

ひとなり。苦しい時は余計なことは考えず、

ガンガン炒めて、ジャンジャン食え。

悲しい時は余計なことは考えず、

ワイワイ騒いで、ドンドン笑え。

死にたい時は余計なことは考えず、

チビチビ呑まずに、ガーガー眠れ。

どんな時も余計なことは考えず、バンバン生きたれ。

 

P195

ひとなり。

自分が犠牲になってりゃこと荒立てんで済む、

とか甘いこと抜かしたらいかん。

自分が幸せになった時にこそ周りも幸せになれったい。

よかか、頑張った人が周りを牽引します。

だけん遠慮せんでよか。我慢するな、犠牲になるな。

まずは己の幸せ目指さんか。

 

P198

 母さんは、暴力や差別や偉そうにする人間を嫌った。

 同時に、そういう人間を許すことをいとわなかった。

 謝罪してきた人間はどんな事情であれ、それが本心であるならば、母さんはいつも許していた。

 許すという行為が一番人間的な行為だからだ、と母さんはよく言った。

「ひとなり、いいか。どんな人間にも親がいる。どんなイジメっ子だって、母親とへその緒で繋がっていた。みんな泣いて生まれてきた。ミルクや母乳を飲んで育ってきた。ママ~、と泣いていた。だから最後は許してやりなさい。許すという行為が一番人間的な行為だからだよ。人を憎むことや恨むことは悪い感情をお前の身体の中に生み出す。そういう気持ちはお前の身体やこころを蝕む。人を呪ったりする人間には結局バチがあたる。恨み、妬み、というのは邪気だ。邪気を生んだ人間は邪気に滅ぼされる。だから、怒ってもその瞬間で終わりにしないとならない。恨みとか妬み、憎しみは人間を滅するエネルギーなんだよ。いいか、お前は正々堂々と生きなさい」

 

P232

ひとなり。友達が成功した時、自分のことのように

嬉しかったらその友達は親友だよ。

でも、めっちゃ悔しかったらその友達はライバルだよ。

しかし、親友も大事だがライバルも重要な存在だ。

めっちゃ悔しいけど、俺も頑張ろうと

その風に乗れる人間になりなさい。

 

P247

「ひとなり。よかか。人の踏み台になるな。敬意のない人間と仕事をしてはならん。お前も付き合う人たちには敬意をもって向き合え。お互い尊敬しあった時に人間は伸びるし、成功は訪れる。リスペクトのない人間関係は続かない。よかか、誰のための人生だ、と思え。それはつねに自分のための人生なんだ。自分が幸せにならなければ人を幸せにすることはでけん。誰かを幸せにしたいなら、まず自分が幸せになれ。幸せは人に伝わっていく。その結果、世界は縁に包まれるったい」