好奇心

103歳。どこを向いても年下ばかり いつでもときめいて生きる

 この辺りも、すごいなぁと驚きつつ読みました。

 

P147

 わたくしね。国から「高齢者向け給付金」をいただいた時、さて、何に使わせていただこうかと考えて、新しい地球儀を買いました。

 平面の世界地図では、世界の国々の位置関係は、はっきりわかりません。

 でも、まあるい地球儀なら、くるりと回すだけでよくわかります。

 だけど、古い地球儀だと、情勢が変わっていてもわからない。

 で、最新の地球儀を買わせていただきました。

 世界のニュースを見ながら、それがどこで起きているのだろうと、すぐにくるりと回して探してみる。楽しいですよ。

 ・・・

 そこに生きているたくさんの人たちの命と暮らしを想像する。

 広い世界では肌の色などかかわりなく、何をやりたいかが重要だとわかります。

 そうすれば、もっと世界は仲良くなれるのではないかと思うのですが。

 ・・・

 そうね。あの世でまっ先に会いたいのは、やっぱりチャールズさんかしら。

 ここまで生きてきて、わたくしの最後の恋人!

 楽しい思い出がまだいきいきしていますからね。

 わたくしがその気になった時に、先に逝かれちゃった心残りもありますし。

 でも、もちろん、彼だけじゃありません。

 別れた最初の夫、初恋の先輩。父や母、兄弟たち。

 何しろ、みんな死んじゃって、残っている人は一人もいないのですから。みんなわたくしに会いに列を作って待っていてくれるかもしれません。花束抱えてね。

 お葬式は、明るく、元気に。絶対この曲と決めているのは、ラヴェルの「ボレロ」。

 気持ちがいいと思うのですが、どうでしょう。

 そして、こっちにいても、あっちに行っても、最後まで人とかかわりながら、働いて死ぬ人生こそ、人間として一番の幸せだと思っています。

 人を愛すること、いろいろな形の愛、つながりこそがほんとうの財産ですね。

 毎朝、目が覚めて、ああ、今日も生きていた!よかったーと思うのです。

 まだまだやりたいことが、たくさんありますから。

 ・・・車椅子に乗っかっていたんじゃどこにも出られない。イライラしますね。やっぱり、朝起きたら体操をして、歩き回って、写真を撮りたいですからね。

 だから、今はせっせとリハビリをしています。やりたいことがいっぱいだから、神様は生かしておいてくださるのでしょうか?

 もちろん不安もありますが、それでもお仕事の予定が入ったりすると、「撮影されるなら、素敵な洋服を用意したいな」なんてウキウキして。

 それ以外は元気です。30年間、日本中が風邪をひいても、わたくしだけはひきませんでした。低血圧で飲みだした赤ワインのおかげでしょうか?

 お猿は風邪をひかないっているけれど……。それかしら……。

 面倒を見てくれている二人の姪がわたくしのことを「無鉄砲」と言うんです。それはまるで鉄砲玉!アッと思ったら、どこへでも飛んで行くって。

 ・・・

 だから、東日本大震災の時には、洋服の生地をたくさん買ってきて、助手を連れて被災地に駆けつけました。

 大船渡に知り合いがあったので、そこで、30分でできる楽しい服作り、簡単なポンチョ作りの講習会を開きました。

 何もかも流されて、着るものがなかった方々にとても喜んでいただきました。

 これと思ったら、すぐ動くことですね。

 お金ができてからとか、時期が来たらと言っていたらいつまでもできません。

 計算をする前にとにかく動くのが、わたくしの流儀です。

 


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