おばはんパワー

死にたくなったらこれを読め!

 大阪のおばはん・・・生命力がすごいです。

 

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 大阪のおばちゃんをご覧になったことがありますか。私は日本のなかで一番何がなんやらワケ分からんけども、すごい種族だと思っています。チリチリのへんてこなパーマあてて、どんな塗料を使ったらそんなになるん?なんてブ厚い化粧して、来ている洋服にはライオンや虎の顔面が前面にプリントされていて、ホラ吹いて嘘ついて、喋ったら人の悪口言うて、他人の目を気にしない、一番人生を愉しんでるすごいヤツらです。

 おばはんが二人でも集まれば、何の役にも立たない長い井戸端会議のスタートや。一時間くらいお互いに存分に噂話と悪口に花を咲かせて、飽きたら「じゃあさいなら」と別れて、・・・それで自分が気持ちよくなったら、それでもう喋ったことを忘れているんですわ。怖い奴らやで。

 この前、私が大阪の商店街で聞いたおばはんの会話には、寒々しさまで覚えましたよ。

「あんた、どこ行くの?」

「ちょっとそこまで!」

「あんただけ、ええなっ!」

 おいおい、ちょっと待ってください。「ええな!」ってどういうことですか。ちょっとそこまで行くことの何がいいのか、羨ましいのか分かりません。まったくもって、私の頭じゃ理解できませんわ。つまり何も考えて喋ってない。思いついたことの垂れ流しです。

 以前、私がぎゅうぎゅう詰めの満員電車に乗っていたときに、おばはんから足を踏まれたことがありましたわ。それもすぐにどかせばええのに、ずっと踏み続けているのよ。

「おいおい、おばはん。俺の足踏んでるで」

「何を言うてんの。アンタが私の足の下に足を入れてきたやないの。あんたが悪い」

 その切り返しに、思わず吹き出しましたわ。どこの世界に好き好んで他人の足の下に足を入れるヤツがおるのよ。もう自分が正しいと疑ってない。

 余談ですが、関西のおばちゃんていうのは、オレオレ詐欺になかなか引っかからないらしいんです。電話先で詐欺師が「オレオレ!」言うたら、おばちゃんは「わたしわたし!」って返すらしいよ。ワケが分かりません。

 ・・・

 こんなおばはん連中でも、さすがに私たちと同じ人間だから頭のなかには、ちょっとの悩みがあるとは思います。でも、すぐにそんなもんは忘れてしまって、今日もペラペラペラと喋り倒して、わがままに生きてることでしょう。・・・

 こんなおばはんに学ぶことは多いはず。私たちも、もうちょっとわがままに生きていっても、大丈夫ですわ。この際、みんなでへんてこなパーマあてて。虎柄の洋服着て、いらんことペラペラ喋って楽になってみませんか。・・・