久しぶりに木村秋則さんの本を読みました。
大切なことを思い出せました。
P96
人間が知っているのは、本当にわずかなことだけ。
計り知れない不思議がこの世界には存在する。
リンゴを無農薬で実らせようと七転八倒した日々を通して、私は次第にそう思うようになりました。もうひとつ、大きな理由があります。それは、これまで私が不思議な出来事を体験したり、奇妙な存在をこの目で見てきたからでもあります。
・・・
UFOに乗せられた。
龍を見た。
宇宙人に遭った。
「あの世」へ行った。
・・・
・・・私にとっては、無農薬、無肥料でリンゴを栽培したことも、龍を見たり、UFOに乗せられたりしたことも、同じ「真実」。この身で体験したことをそのままにお話ししているだけですから、何と言われようとかまいません。
私が10代のころから、折に触れて感じてきたのは、龍の存在です。
・・・私が17歳のとき、その龍が突然目の前に現れました。
当時の私は、高校2年生。自転車で下校している途中のことです。
そこは、田んぼの中の一本道。車は走っておらず、私はゆっくり自転車をこいでいました。ふと道路の反対側に目をやると、数メートル先を歩いていたおじさんが片足を上げたまま固まっています。不思議に思って自転車を止めたその瞬間、道路を横切って大きなワニの頭がドサッと音を立てるようにして現れました。
ワニと違うところは、太ももほどもあるヒゲがゆらゆらと動いているところです。何かを言おうとするように口が上下に動いています。あまりに大きいので、目がどこにあるか見えません。
「怪物が現れた!」と、まず思いました。私はとっさにおじさんを見ましたが、まださっきの姿勢と同じです。怪物の姿にあぜんとしながら、「今、時間が止まっているのかもしれない」と、頭の片隅で冷静に考えました。
怪物は、それからさっと移動し、近くにあった松の木の先端に止まりました。・・・
龍は尻尾を木の先端にからませ、宙に浮いていました。・・・
どのくらい時間が経過したでしょうか。龍は天を目指して、スーッと飛び立っていきました。それを待っていたかのようにおじさんが歩き出し、また時間が動き始めました。
「今のは、何だったんだ!」
・・・
龍は、その後も私の人生に登場します。次に遭遇したのは、それから30年後。自然栽培を広める仲間たちと一緒のときでした。
・・・仲間たちと記念撮影をしようと並んだときです。カメラを構えた知人があわてて私たちの後ろを指さすので、「なんだ?」と全員が振り向きました。
するとそこには、山々の上を悠々と飛んでゆく龍の姿がありました。
・・・仲間は手持ちのカメラを取り出し、それぞれ夢中でシャッターを切っていましたが、不思議なことに画面はどれも真っ暗で、すべての写真に光のラインがスッと入っていました。
その後、私も含めてそこにいたメンバーには、それぞれの人生の転機が訪れました。私が、NHKの『ザ・プロフェッショナル仕事の流儀』に出演したのは、この出来事から数カ月後のことです。
・・・
17歳の私が見た存在が本当に龍だったとしたら、何を伝えたかったのだろう。若いときにはそんなことを考える余裕はありませんでしたが、ここ数年、ふと「あのとき龍は口を動かして何を言いたかったのだろう」と、考えるようになりました。
何かを伝えたかったというのは単なる私の思い込みで、明確な意思などなかったかもしれません。しかし、龍と遭ったあとに私がたどった人生を考えると、いつも不思議な偶然や出会いがありました。
もうダメだと覚悟した絶体絶命のピンチで助け船を出してくれる人が現れたり、一歩間違っていれば命を落としかねない事故の手前で、九死に一生を得たりしたことも一度や二度じゃありません。
・・・
今、私はこう考えます。
龍の言いたかったことは、「志を貫け」ということではなかったかと。それは、汚染された地球環境を元に戻すことであり、自然栽培を広げていくことです。だから不思議な存在が、私の人生に時折その姿を現し、「見えることだけがすべてではない」と教えてくれているのかもしれません。
不思議な存在といえば、宇宙人らしき存在との出会いも忘れることはできません。
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・・・ある日、家に帰ろうと暗い畑の道を歩いていたら、目だけが大きく光る異様な二人組が畑に現れたのです。
その二人組は、夕闇の中で、リンゴの木の間を猛スピードで移動していました。目を凝らすと、身長は130センチほど。体はメタリックなボディースーツのような肌で覆われています。足は地面から少し浮いているように見えました。
・・・
2度目に同じような二人連れが現れたのも、夕暮れ時でした。
姿形は以前と同じです。・・・立ち往生していると、メッセージのようなものが伝わってきました。「安心しなさい」と言っているようでした。