自然なまま

「心」が変われば地球は変わる (扶桑社文庫)

 奇跡を支えてくれたソウルメイトということで、こんなお話がありました。

 

P185

 ・・・今も人との縁をつないでくれているヤマさんですが、レストランを何軒も経営する忙しい身でありながら、いつもマメに畑に顔を出してくれます。

 ・・・

「打算や計算があると、せっかく神様が与えてくれた出会いを無にしてしまう。自然なままに出会い、自然なままに人とつき合うと必ずいい方向にいく。お互いに助け合っていけば、その先には宝物がある」

 ヤマさんは、そんなふうに言います。

 ヤマさんと私のつき合いは、まさに「自然なまま」のつき合いです。お互いに相手を絶対に傷つけないし、ケンカもしません。忙しくて約束を忘れてしまったり連絡が取れなくなっても、いつも「しょうがないな」で許してもらっています。

 ・・・

 アキとのつき合いは、もう何年になるでしょうか。

 私たちは同じ中学で、アキはひとつ年下です。・・・

 ・・・

 アキとはお互いに何の遠慮もせず、兄弟同様のつき合いをしてきたので、たまにささいなことでケンカになることもありました。たいていは、私のほうがヘソを曲げて口をきかなくなるのです。といっても深刻な話ではなく、いつも取るに足らないことがきっかけです。何日かしてアキから電話がかかってくると、待ってましたとばかりに、私は何事もなかったかのように話し始めます。

 アキと話すときは、気兼ねはいっさいなし。

 相手がどう思っているだろうとか、こんなことを言ったら変に思われないだろうかなどとは一切考えません。飲んで「うるせえじゃ、この!(うるさいなあ、こいつ!)」と無邪気に笑い合える相手、お互いに表も裏も見せ合える関係です。だから、人から見たら、まるで夫婦か恋人のような間柄に見えるかもしれないなあとも思います。

 無農薬栽培を始めて友達がみんな去ったあと、アキはたった一人残ってくれました。

 私にお酒を買う余裕も飲みに行く余裕もないことを知っていて、折を見ては飲みに誘ってくれたり、「これ、もらったはんで(もらったから)」と一升瓶を持ってきてくれたりしたものです。

 ・・・

 当時の私はいつもどおりに振る舞ってはいましたが、人から無視されバカにされる悔しさや寂しさを嫌というほど味わっていました。そんななかで、アキの存在がどれだけ心強かったかわかりません。

 ・・・

 社長として多忙を極めながらも、アキは毎日神様と仏様を拝まないと気が済まないそうです。そのように信心深い性格だからか、私が体験した不思議な話も、バカにすることなく真剣に聞いてくれます。

 ・・・

 まだ私がリンゴづくりに悪戦苦闘していたころ、元気づけようとしてくれたのか、アキがある霊能者のところへ連れていってくれたことがありました。

 青森県に近い秋田県鹿角市の、とある神社にいる先生です。

 ・・・

 そのときの私に対する予言は、「あなたは、65歳でこの世を制するでしょう」というものでした。

 当時は、貧乏でおコメすら買えないころです。私は「そんなことがあるはずがない」と思いました。しかし今、もちろん世の中を制したわけではありませんが、少しは人のお役に立つようになっています。だから、先生の言ったことはまったく見当違いだったわけではなかったかもしれません。

 アキは、素晴らしい能力を持った人たちに会ったり、岩木山神社をはじめとする神社仏閣に行ったりすると、自分が無心になると言います。その気持ちは、私にもよくわかります。

 いつもはバカ話ばかりしている私たちですが、お互いに魂の深い部分でもつながっているから、こうやって助け合い、学び合っているのだろうと思います。