高野誠鮮さんとのお話

「心」が変われば地球は変わる (扶桑社文庫)

ローマ法王に米を食べさせた男」高野誠鮮さん

greenz.jp

木村秋則さんの対談が巻末に載っていました。

 

P205

高野 「腐る」と「枯れる」。・・・これは青森県弘前市で自然栽培の野菜をつくっている農家、成田陽一さんのトマトなんです。これは、枯れてるんですね。皆さんがふだん召し上がっているトマト、放置すると腐りませんか?自然栽培のトマトは、放置しても腐らないんですね。ただ、枯れていくんです。

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 先ほどはトマトの話をしましたが、コメはどうなるかというとですね、私も実験をしました。自然栽培のコメをコップの水につけておくと、ものすごい甘い香りがしてきて、気がつくとどぶろく(発酵させただけの白く濁った酒)ができてるんですよ。・・・古代は、おそらく自然におコメが発酵して、どぶろくができていたはずなんです。・・・

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 私には日蓮宗の僧侶という別の顔もあります。昔の僧侶は、死んだあとは腐らず、実は〝枯れた〟んですよ。これはどういうことかというと、東北地方に多い、即身仏のあるお寺へ行っていただくとおわかりになると思いますが、即身仏になった僧侶はミイラになっているのです。ですが、最近の僧侶って、腐るんです(笑)。

 腐るということは、肉体が〝自然栽培じゃない〟のですよ。はっきり言って申し訳ないですが、間違ったものを食べたり、間違ったものの考え方をすると、肉体どころか心まで腐るのが人間なんですね。・・・

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 僕が驚いたのは、木村さんがおっしゃることって、法華経の世界観に通じるものがあるんですよ。最初にお会いしたときに、「木村さん、法華経というお経を読んだことありますか?」と聞くと、「私は浄土真宗だから、そんなもの読んだことない」とおっしゃるんですけど、木村さんが語ること、見てることが、もう法華経の世界観なんですね。

 それから宮沢賢治と同じような世界観を、木村さんに感じたこともあります。・・・単純に言うと、「敵はどこにもいない」「無用な生物は地球上にはひとつもいない」「すべて仏性を持ち生まれている存在である」ということです。

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 自然栽培にはもうひとつ特徴があってですね、僕は木村さんの畑へ行ってリンゴをいただいたときに、ある実験をやったんですね。ホテルに戻ってから、バスタブに水を張って、リンゴを浮かべてみたんです。そうしたら見事に沈みました。決して浮かないんですね。

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 皆さんがふだんお食べになってるリンゴ、水に入れるとぷかぷか浮きませんか?木村さんのリンゴは沈んじゃったんですよ。

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 岡山県にある「なんば桃園」の難波朋裕さんがつくっている自然栽培の桃もいただいていたので、桃でも実験させてもらいました。やはり、自然栽培の桃も沈むんですね。・・・

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木村 いやあ、何も与えないで自然の力で育ったものというのは、ひとつの形の大きさになるのに、細胞が分裂して大きくなったと私は思うんです。ところが肥料や栄養を与えると、輪ゴムが伸びるように肥大していってるのではないかなと。だから肥大していくから早く腐敗しやすいんじゃないかなと、そう思うんです。だって栄養の高いものを食べると、どうしても太り気味になるでしょ。

 ・・・必要以上に肥大するということは、やっぱり作物においても決していい結果は出さないと思うんです。