イライラするという状況に限らず、自分の精神状態と、周囲にそれが今どのように映っているかを把握する、そして誤解が生じそうな時は何らかの工夫をする、ということを、もし普通にできたら、みんな平和に過ごせるなぁと思いました。
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誰かと共に作業をすると『なぜ、この人はこんなにできないのだろう』と、求めすぎてイライラすることはありませんか?
相手が頑張ってくれているのにイライラする理由はひとえに「相手への期待値がつり上がっているから」です。・・・
ここでは、相手への期待値がつり上がる原因を2つに分け、それぞれの対策を考えましょう。
相手への期待値がつり上がる原因は、自分に余裕がないケース/相手が思うように成長しないケースの2つです。これらはそれぞれ要因が、自分側にあるケース/相手側にあるケースとも言い換えられます。
・・・〝溺れる者は藁をもつかむ〟のことわざ通り、そもそもそんなに戦力として期待していなくても、つい余裕がなくなると(溺れると)、そこら辺の藁でも立派に活躍してくれるのではないかと目がくらんでしまします。とはいえ「気持ちに余裕を持とう」などと精神論で解決しようとしても無駄なことです(気の持ちようで解決するなら、世のイライラごとの99%は存在しません)。・・・
▼対策① そもそも、余裕のない状態を発生させない
結論から言うと、溺れても藁を摑まずにいる/余裕がないのに相手に期待せずにいるのは、よっぽど徳の高い人間でなければ土台無理です。・・・ですので、ごくごく普通の私たちが取るべき最も大切な対策は「そもそも溺れない」に尽きます。
「何を当たり前のことを言っているんだ」と思われたかもしれませんが、私の目から見ると〝そもそも〟を見直しするより、〝頑張れば泳げる!〟と気合いで押し切ろうとした結果、自分自身の余裕がなくなっているケースが、とても多いように思います。
例えば未来食堂では、その日の作業負荷が高そうなときは、湯飲みが紙コップに切り替わります。・・・
余裕がなくなりそうなときは、できる限りその要因を取り除いておきましょう。自分やチームの能力を過信してはいけません。・・・
▼対策② 自分の状態を自覚する
能力の過信にもつながりますが、「自分はできる」と思い込んでいると、自分がイライラしていることにすら気づけません。・・・自分がイライラしているときには、できるだけ早くその状態に気がつきましょう。
とは言ってもそんな状態で、自分自身を俯瞰して見ることは難しいですよね。ポイントは、「自分がイライラする状況を覚えておく」ことです。
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例えば、子を持つあなたにとって、「子どもが食べ残す」状況がイライラポイントだったとしましょう。そこで『子どもにイライラするなんて、私は良くない親だ。「子どもが食べ残す」状況は、イライラポイントなんかじゃない」と、自分のイライラポイントを見て見ないフリをしてはいけません。最近は、子育てに完璧を求める世間の風潮と相まって『自分は親失格だ』と自責の念にとらわれる人が増えていますが、これはまさしく、イライラポイントと道徳的正しさの間で自己を苛んでいる一例と言えるでしょう。
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・・・精神の鍛錬と、イライラポイントを無視することは違います。・・・
良い悪いはいったん隅に置いて、自分のイライラポイントを客観的に解析しましょう。
▼対策③ 周りに申告する
人は、イライラしたとき、それを隠そうとしてかえって逆効果になることがあります。
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私の場合、未来食堂でイライラしそうなときは、なるべく気づいた瞬間に「ちょっと忙しくなりそうでイライラするかも」と周りに伝えます。・・・
その際、「1時間もすれば状況は落ち着くと思います」と、〝いつまで悪状況が続くのか〟も併せて共有すれば、相手を無駄に心配させずに済みます。
周りにはあなたのイライラポイントは分かりませんので、「自分に手落ちがあったから、リーダーがイライラしているのだろうか」と無意味に気を揉ませてしまいます。〝あなたに責任はない〟ということを、何らかの手段で必ず共有しましょう。