未来食堂流の考え方・やり方・続け方

やりたいことがある人は未来食堂に来てください――「始める」「続ける」「伝える」の最適解を導く方法

 未来食堂の店主、小林せかいさんの本。以前読んだものも興味深かったので、この本を見かけて、すぐに手に取りました。

 すごい探究心と分析力と行動力の人だなと、そして自分を客観視する能力の高い方だなと思いました。それはきっとご本人にとっては〝ふつう〟のことだけど、周りからはそう思われない・・・、読みながら、その人にとっての〝ふつう〟って千差万別だよなぁと思いました。

 

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 自分の頭の中にある絵を完璧に分かってくれる人などいません。・・・

「何が他と違うのか」が説明できたとしても、聞いた相手の反応がいまいちだったりすることはありませんか?

「こんなに面白いアイデアなのに、なぜ反応が悪いんだろう……」。それはおそらく、〝その人にとって〟面白いアイデア・ビジネスモデルではなかったからです。

 人は、自分に関係があること・得のあることにしか反応しません。「ふーん」で終わらせないために、その人が参加しているような気持ちになるくらいのプレゼンが求められます。

 例えば未来食堂のアイデアを伝える時、当初は「その人の希望に合わせたオーダーメイドができる定食屋なんです」と紹介していましたが、その時の反応はまさに「ふーん」でした。「オーダーメイドの定食屋なんて大変そう」「高級店にしないと無理なんじゃない?」と半信半疑のコメントばかり。

「聞いている人に響いてないな」と気づいた私は、説明の仕方を変えました。

「人って誰でもちょっとした食べ物の好みってあるじゃないですか。私はついつい酢を入れるのが好きで、唐揚げにもお酢をかけたりしちゃうんですが、〇〇さんはどうですか?そういうのってありますよね~」と話を振ってみると、出てくること出てくること。ご飯の最後は必ずお茶をかけて食べたり、ごはんに味噌を付けて食べたり、加熱したトマトはOKでも生のトマトはNGだったり。

『人によって食の風景はさまざま』―。そのことを相手にイメージしてもらった後でおもむろに、「未来食堂はおかずのオーダーメイドができる定食屋なんですが、何でも出てくる魔法を使うわけではなくて、その人の好みや癖、その人にとっての〝ふつう〟をささやかながらもあつらえる、そんな定食屋なんですよ」と切り出すのです。

 すると、面白いほど聞き手の反応が変わりました。

 たくさんの人がこの説明にワクワクしてくれ、お店ができるまでに十分と言えるほどファンを作ることができたのです。

 説明を変えただけ。でもそれで、相手の反応がまったく変わってくるのです。

 私が行っていた2つのプレゼンの違いは何でしょうか。それは「その人の目線に立っているか」だと思います。

 自分には関係なさそう―。そう思っている人を同じ輪に呼び込むようなイメージでプレゼンをしてみましょう。何度か人前で話すうちに、相手が興味あるポイントが見えてくるはずです。そこを意識して、伝える絵を描き替えていきましょう。