好奇心

46年目の光―視力を取り戻した男の奇跡の人生

 好奇心旺盛なメイさんの、大学時代の様子、素晴らしいな~と思いつつ読みました。

 

P82

 ・・・ダンスパーティーでは、自分にはっぱをかけて女子に話しかけようとしたが、大音響で鳴り響く音楽と部屋中を埋め尽くす人の波のせいで、とんちんかんな結果になることもしばしばだった。ひどい場合は壁に向かって、一緒に踊ってくれませんかと言っていたり。「あんた、クスリでもやってるのか?」と、ある男に聞かれたこともあった。目の様子が変わって見えたからだ。「あいつはおれと踊る気がないらしいね」と、メイは友達に冗談を言った。

 ・・・

 ・・・いろいろな場所に行きたがるせいで、デービスの町の見知らぬ界隈にさまよい込むこともあった。・・・通行人が大勢行ったり来たりする交差点に思いがけず飛び出したり、アクセサリー店や野球場など、思ってもみなかった場所に行き着いたりすることもあった。そういう経験を通じて、メイは世界の大きな可能性を知った。迷子になることを恐れなければ、世界はとてつもなく広大で魅力的な場所なのだ。道に迷うのが怖くないのかと友達に聞かれて、正直なところ怖いこともあるけれど、怖い思いをするだけの値打ちはあると思うと答えた。人生で最も素晴らしい体験のいくつかは、どこへ行き着くのか確実にわかっていないときに経験するものなんじゃないかと、メイは言った。迷子になった末にようやく正しい道を見つけたときはどんな気分がするのかと聞かれると、メイはこう答えた。そうだね、目が見えるようになった気分かな、と。