ひきこもらない

ひきこもらない (幻冬舎単行本)
phaさんの「ひきこもらない」を読みました。
いろいろ気づきがあって面白かったです。

P144
 感情が不安定なときはいつも外を歩くようにしている。
 家の中で一人でものを考えているとネガティブな方向にしか行かないようなときでも、家から出て外の空気を吸うだけで少しだけ思考がマシになる。・・・
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 ずっと部屋にこもってパソコンのモニターを見続けていると、久しぶりに外に出て遠くを見たときに「このゲームはなんて解像度が高いんだろう」と感動する。「こんなに大勢の人や車が動いているのに処理落ちしないなんて、なんてハイスペックなマシンなんだ」とか思ったりする。・・・
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 人間の視界は意外と狭くて、わりといろいろなものを見落としながら生きている。何年も住んでいる場所でも、普段入らない路地になんとなく入るとこんな場所があったのかという気づきがあったりする。
 普段立ち止まらない場所で立ち止まってみたり、普段上を見ないところで上を見てみたりするだけで新しい世界が見えてくるので楽しい。
 近所を歩くだけでいろいろな気づきがあるということを普段から感じていると、「新しいものを見たいとしても別に遠くに行く必要はない」とよく思う。
 遠くまで海外旅行をしたとしても、物を見る姿勢に新しさがなければガイドブックに載っている情報をなぞるだけで何も新しい気づきを得ずに終わるだろう。
 逆に、細かい場所に面白さや新しさを見出せる視点さえあれば、家の近所を散歩しているだけでも毎日新たな発見がある。既知と思っていることの中にもいくらでも未知は隠れているものだ。
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 先ほど、海外旅行なんてしなくても近所の町内でも知らない場所はたくさんあると書いたけれど、それはさらに狭い範囲でも言えるかもしれない。
 つまり、町内まで行かなくても自分の体内でも知らない場所はたくさんある、ということだ。
 一番身近な自分の体でも普段なんとなく見過ごしている部分は結構多い。
 以前、体の使い方について書かれた本を読んで・・・多くの人は、腕は肩で肋骨につながっていると思っているけれど、そうではないということだ。・・・
 自分の体がそんな風になっているとは意識したことがなかったので、初めて知ったときはびっくりした。・・・
 体には他にもまだまだ「こんな骨があったのか」「こんな仕組みになっているのか」という部分があるのだろう。知っているようで知らないことはまだまだ多い。・・・
 目の位置を少し変えるだけでどんな場所にも楽しみは見出せるものだし、どんな問題でも解決する糸口は見つかるものだ。そんなことを考えながら今日もまた散歩に行ってこようと思う。