心なく仕事する

ダメをみがく―“女子”の呪いを解く方法

心なく仕事する…ほうが長く働けるのでは、という話。
それもまた真なり、という感じがしました(^_^;)
感情によって揺られることなく、淡々と正確に、というイメージもできますね。

P57
津村 自分の手法や正義を他人に植え付けようとする人はすごく困るんですが、ふたつめの会社にはそういう人がいませんでした。仕事を教えてくれた年下の先輩も、押しつけがましくなくて、自然に敬意を持てるような人でした。他の先輩のアドバイスも、「こうしたらいいかもよ」ぐらいのもので、そうやって軽く教えてもらったものが仕事の最後まで役に立ちました。男の人らに関しては、「おっさんには心がない」って深澤さん言ってたじゃないですか。あのとおりです。悪い意味ではなくてね。

深澤 「心なく仕事する」ほうが長く働けるからそれでいいんですよ。それに、私は何度も言ってるけれど、会社で友だちをつくらなくていいし、同僚と友だちにならなくていい。なぜなら、それも結局"感情労働"になってしまうからなんですよ。私も若いころは、尊敬したいとかされたいとか、同僚の編集者どうしで知的好奇心(笑)を高めあいたいとか思っておりましたので(苦笑)、それが満たされないとかえってストレスが大きくなったんです。津村さんは「尊敬とかそういうのはいらん」っていうのが、かわいそうなことに23歳にしてわかってしまったんですね。
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深澤 受賞後も、それで会社の居心地が悪くなったとかもなかった?「芥川賞作家がこんな会社にいる必要ないじゃない」みたいなことを同僚から言われそうじゃないですか。

津村 そういうのは特になかったですね。私自身に対しては。・・・
 突然、なんかいろいろなところに呼ばれて話を聞かれたり、今までとは同じじゃないなあっていう戸惑いもすごいあったんで、会社の中ではあまり変わらずに仕事できてるっていうことが、私の支えでもあったんです。会社には近くのコンビニっていう通気孔があって、芥川賞には会社の仕事っていう非常口があった。で、会社の仕事に行き詰ったら小説のことを考えていました。そのときにいない場所を逃げ場にすることによって、閉塞感を和らげていた感じですかね。
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深澤 長く働こうと思ったら、「尊敬できる」「仕事のやりがい」「社会に貢献できる」「人の役に立つ」とか、そういう"きれいな理由"は3番目ぐらいに置いておくくらいでいいんですよね。1番目や2番目の理由には「嫌いな人がいない」「あれこれ干渉しない」とか、それこそ「会社のある街が好き」「帰り道が楽しい」でいいんですよね。・・・