苫米地英人さんと成瀬雅春さんの対談本

瞑想と認知科学の教室

いろいろと、気づきのヒントや大事だなと思えることが書いてある本でした。

ここは、瞑想のやり方についてのお話です。

 

P47

 ―・・・今日は、『悟りのプロセス』を参考にしながら、具体的な瞑想のやり方について教えていただきたいと思ってます。・・・本によると瞑想する前に集中力をつけないといけないとあるんですけど、「さて、これから瞑想するぞ」で瞑想するんじゃないんですね。

 

成瀬 集中は瞑想のための下準備ですよ。料理を作る時に材料を買ってないと料理できないのと同じです。材料を買って下準備をしてから料理が始まるじゃないですか。だから、瞑想するのも瞑想する前に集中状態を作って、それで瞑想に入っていくんですよ。

 

―集中力がないと瞑想が始められないってことですか?

 

成瀬 瞑想や悟りで必要なのは現状認識です。いま自分がどうなっているか?とか、自分の状況を把握することです。それって集中力がないとできないですよね。

 ・・・

 確かな集中をしてると一定の意識状態になれるわけですよ。それがそのまま瞑想につながっていきますから。

 

―それが「集中」ですね。続いては「意識の拡大」と書いてあります。

 

成瀬 意識の拡大は、常識的な垣根を取り払って、瞑想をよりダイナミックなものにしていく作業といってもいいと思う。

 ・・・

 ・・・「ここにいて、2メートル先の壁はさわれないよね」っていうのが常識的な考え方。でも、感性が鋭くなって、触った感触が自分の中の体感としてあれば、それは触ったと同じことなんですよ。それはもう常識の壁を取り払えばできることですし、超えることもできますし。

 ・・・

 ・・・触ってるつもりとかはダメ。まさに実感があればその人のものなんですよ。だから、宇宙の果てまで行ってきたって実感があれば、たぶん、その人は行ってきてるんですよ。・・・

 

―イメージと実感の違いってなんですか?

 

成瀬 イメージと意識の違いって言ったほうがいいですね。例えば、「社長になったイメージをする」って言葉は自然ですよね。でも、「社長になった意識をする」って日本語として変でしょ。意識って言葉を使うなら、「社長になろうと意識する」って言葉になるんです。逆に「社長になろうとイメージする」はちょっと変で、やっぱり「社長になったイメージをする」なんです。つまり、イメージは実感を伴わない、仮定の話なんですよ。逆に「意識する」っていうのは実感を伴うんです。

 

―ということはイメージしないほうがいいんですか?

 

成瀬 イメージからつなげていってもいいんですよ。手掛かりがないといけないんで。イメージするところからつなげていっても。ただ、ずっとイメージだけだったら進歩しないですよ、足踏みしてることになっちゃう。