カバーできる人に

あるがままに自閉症です (角川文庫)

「カバーできる人になりたい」とみんなが思ったら・・・そういう世界に生きたいです。

 

P136

「空気を読むのが難しい」という話を時々聞きます。僕は空気を読むのがどういうことなのか、それ自体わかりません。口で言わないことも想像して、人の気持ちを考えることでしょうか。

 それなら、話せない自閉症者だってやっています。でも、考えるだけではだめで、どう行動するかが問題なのだと思いますが、なぜそのことを「空気を読む」というのか不思議です。

 その場の空気というのは、みんなでつくるものです。たとえ、中の一人が、ちょっと変なことを言ったり、おかしな行動をとったりしても、周りの人がカバーすれば、それでうまくいくのではないでしょうか。

 僕は、カバーできない人間です。だからかもしれませんが、カバーしてくれる人が好きです。

 空気を読めない人をバカにするのではなく、みんながカバーできる人に憧れたり、カバーできる人を尊敬したりすればいいのではないでしょうか。

「空気を読めない人になりたくない」ではなく、「カバーできる人になりたい」と言えるのが、暮らしやすい世の中だと思います。