東田直樹さん

あるがままに自閉症です (角川文庫)

「あるがままに自閉症です」を読みました。

18歳の頃のブログに加筆修正をしたものだそうです。

心に響くことがたくさんありました。

 

P62

 幼稚園の頃、少しずつ周りのことがわかってきました。自分がみんなと違うことに、だんだんと気づいたのです。

 とてもショックでした。特に話せないことは、僕を奈落の底に突き落としました。

 自分はなんて悪い子で、ダメな人間なのだと思うと、どうしようもない気持ちになりました。その頃は、自分でも何をどうしていいのかわからず、くだらないことにこだわり続けたり、夜も寝なかったりしたものです。周りが見えてきたために、そうせずにはいられないほど苦しくなってしまったのです。

 こだわり続けていたことも、別にそれがやりたいわけではなかったのです。何かにこだわっていないと気が変になりそうでした。

 その頃の僕は、気持ちをわかってもらいたかったのだと思います。

「話せなくて辛いね」

「みんなのできることができなくて、嫌だよね」

 と言ってほしかったのです。

 もし、そうしてもらえたなら、抑えていた感情があふれだし、僕は暴れて泣いたでしょう。それでも、気持ちを受け止めてほしかったのです。

 しばらくは大泣きが続くかもしれませんが、泣き切った後、大好きだと伝えてください。

 気持ちに共感してもらえなければ、泣いていても泣けていないのです。