この本、前に読んだ気がするのに、手にとったら以前の記憶がなく(苦笑)
また読んでみました(^_^;)
P45
・・・真実に生きる道を求めて読書会に入りました。
ドストエフスキー、トルストイ、キルケゴール、夏目漱石……と、次々に読みあさりましたが、心が満たされることはありませんでした。
かえって「世の中に絶対的に信じられるもの、頼りにすべき価値は何もない」という、虚無感がますます深まるばかりでした。
そんなときに出合ったのが、『臨済録』(唐代の禅僧、臨済の法話を編んだ書)の「無位の真人」という言葉です。
「何ものにも位付けされない、心の内にも外にも何の頼りとする価値もないところにこそ、真の自己がいきいきと生きているのだ。
その自分自身を信じきり、一切の権威に惑わされず、生きたいように生きよ」
臨済禅師が弟子をそう叱咤激励している内容です。
いや本当に、この臨済のメッセージは強烈で驚きました。
「世の中、頼りにできるものは何ひとつない」
そこからくる虚無感にさいなまれていたのが当時の私です。
確かなもの、信頼できるもの、永久に続くもの……、そうしたものが実は世の中には何ひとつ存在しない。それを知ったことが、私の苦しみを生み出していたのです。
ところが臨済は、
「何の位も何の頼りにするものもないところにこそ、本当のお前さんがいきいきと生きているのだ」
と言うのです。
一瞬にして目を開かされ、魅了されました。
P85
そういえば、ジョン・レノンは「イマジン」で、もし人生が今日一日だけならば、思想の違いも、宗教の違いも意味を持たないし、明日以降の安全を確保するために欲張ることもなくなる、そして人生とは、今日を生きること、いまを生きることだという意味をこめて歌っています。
時間という概念が、人を真理の次元から遠ざけています。
霊性の発見とは、「いまここ」の発見ともいえるのかもしれませんね。