平気で生きる

淡々と生きる

「悟りとは平気で生きること」というのを読んで、初めて聞いてびっくりするような、でもわかってたことのような(できてませんけども)、・・・

 とても大事なことだと思いました。

 

P183

 いつでも死んでいい、いつでも死ねる、生きることに執着はないーとは、ある程度勉強した人にとってはそういう気持ちになれるものです。私もその程度のことは言っていました。正岡子規の言葉・・・

「悟りとは、平気で死ぬことではなく、平気で生きることである」

 つべこべ言わないで平然と生きること。淡々と生きること。それが悟りである。このひと言にはすごみがあります。それがドーンと響きました。

 正岡子規は単に身体が悪かったとか、数値が悪かったとかいうレベルではありません。脊椎カリエスという、肺結核結核菌が背中から脊髄に入り込んで骨に穴を開け、骨から膿がしみ出てくるーすさまじい激痛をともなう病状だったのです。腰から下がまったく動かせなくなって立ち上がることもできず、ずっと這うような生活をしていました。・・・

 その言葉を目にして、「そうか、現役で死ぬというのは、まだまだだな」と私は思い直しました。生きることに執着はないし、死ぬことは平気ですが、平気で生きるというのは、そんなにわかっている話ではなかったのです。本当にわかった人は、何があっても平然と生きる。だからつべこべ、うだうだ言わない。何があっても平然と生きていく。それが本当の悟りだと子規は言うのです。