楽観主義とは

脳科学は人格を変えられるか? (文春文庫)

脳科学は人格を変えられるか?」を読みました。
 興味深いことがたくさん載っていました。
 この、楽観的であるとは単に能天気なわけではない、という所、たしかにそうだとハッとしました。

P27
 ・・・楽観的な気質とはいわば、未来に真の希望を抱くことだ。それは「ものごとはかならず打開できる」という信念であり、「どんなことがあってもかならず対処できる」という揺るがぬ思いだ。単なる能天気とはまるでちがう。楽天的な人は、自分の身に悪いことが起こらないと思っているのではない。悪いことは起きるかもしれないが、起きてもかならず対処できると、彼らは強く信じているのだ。
 ・・・
 ・・・いちばん重大な発見は、楽観がプラスに作用するのは、適度なリアリズムと結びついたときだけだという事実だ。やみくもな楽観や「悪いことはぜったい起こらない」という思い込みからは、プラスの結果はおそらく生まれてこない。
 わたしはこの件について、俳優のマイケル・J・フォックスと話したことがある。自他ともに認める不屈の楽観主義者の彼は、二九歳のときにパーキンソン病の宣告を受けた。・・・わたしが会ったときは病気の診断から一八年が過ぎており、彼はみずからドキュメンタリーを制作していた。題名はずばり、「マイケル・J・フォックス:救いがたき楽天家の冒険」。・・・
 撮影後に談笑していたとき、わたしは、楽観主義的な気質の鍵をマイケルがすべてもちあわせていることに気づいた。・・・
「僕がリスクを自覚していないとか、この先何がどう悪くなっていくのか理解していないとか、そんなふうには考えないでほしい」と彼は話した。「この先、どんなひどいことが起きるかもしれないって、ちゃんと覚悟はしているよ。ただ、どんなことが起きても僕はぜったい対処できる自信がある。これまでの年月で、何が起きてもかならず乗り越えられると学んできたからね。もちろん、困難を歓迎はしない。でも、だいたいにおいて僕は〝大丈夫、何とかできるはずだ〝と感じるんだ」