見えている世界の色が変わる

ヤナの森の生活

 優しい話のような厳しい話のような…

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 ・・・約束の地(プロミスランド)を求めて、私は旅を続けていました。そして、それはハワイ島にあると思い、ここにたどり着いたのでした。
 はじめてこの大地に立ったとき、海に流れ込む溶岩を見て思いました。このあたらしく生命が生まれる場所、こここそが、私の場所だということです。私にとっての「プロミスランド」だったのです。
 火山の島であるハワイ島のほとんどの土地は、溶岩で覆い尽くされています。ビーチといっても溶岩が削られてできた石が散らばる黒い砂浜です。ハワイというと、白いビーチにハンモックを予想していた私は、まるっきり違う姿に驚きました。しばらくは期待していたイメージを追って、あちらこちらにその残像を探し回ったものです。
 プロミスランドに出合ったのに、私は何かを探し続けていました。約束の地というのは、もっと落ち着いた緩やかなエネルギーに満ちた楽園であるに違いない、という思いがあるからです。イメージを期待して、それに縛られているときに、人は足りないものを探し回るのです。疲れていて、照りつける日射しの強さにうんざりしたときなどはとくに。
 いま思うとそれらのすべてが、ペレのテストであり、ペレに試されていたのだと気づきます。長いあいだ私がもち続けていた楽園のイメージも幻想でしかありません。白いビーチは落ち着いたくらしに絶対必要なものではなく、楽園は、いま、ここにあるものです。
 ある日のある瞬間のことです。私はいつものなじみのある青い海と黒い海岸線の景色の中を車で走っていました。太陽の日射しが強く降り注ぎ、風が優しげに頬をなでていったその瞬間に、私のなかにストンと何かが落ち着きました。「ああ、ここは楽園だわ」
 すべてがここにあるということに気がついたときに、見えている世界の色が変わったのを覚えています。
 誰も私を幸せにはしてくれない。それができるのは、ほかでもない自分自身でしかないのです。理想と違うことで、判断を下していた私自身に気づくことができました。
 私たちは、人生という大きな波を乗りこなすサーファーだと思っています。
 体験を重ねることで少しずつ大きな波も楽しみながら乗りこなすことができるようになっていきます。私がペレから学んだのは、計画を立てて、それに縛られてはいけないということでした。私たちが人生の波に乗っているときには、その完璧さの中にいるものです。