人の頼みを断る基準

アリエリー教授の人生相談室──行動経済学で解決する100の不合理

なるほど、この基準でジャッジすれば、つい引き受けて後悔することが減りますね。

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親愛なるダンへ
 この間昇進してから、自分の仕事とまったく関係のないことを次から次へと頼まれるようになりました。同僚や会社全体のためにはたらくことが大切なのはわかっているけれど、そのせいで時間をとられて自分の仕事ができないんです。うまく優先順位をつけるにはどうしたらいいですか? フランチェスカより

 ・・・たぶん、君の新しい生活はこんな感じなんじゃないかな。毎日、気のいい同僚たちにいろんなお願いごとをされ、できることなら助けてあげたいと思う。それにそういう頼みごとは今すぐではなく、ずっと先、たとえばひと月後に何かをしてほしいというものが多い。君はまだスカスカのカレンダーを見て、自分にこういい聞かせる。「ひと月あとなら予定がガラ空きだし、断れるわけないじゃない?」でも、それはまちがっている。実のところ、予定が空いているんじゃなく、細かい予定がまだ決まっていないだけなんだ。そしてその日が来ると、その余分なお願いごとがなかったとしても、やるべきことがありすぎて手一杯の状態だ。そのとき初めて、引き受けるんじゃなかったと後悔する。
 これはよくある問題だ。そこで、望ましい優先順位を守るための簡単な方法を三つ教えよう。
 一つめとして、何か頼みごとをされるたびに、「来週だったらどうするか」と考えるんだ。・・・ほかの予定を取り消してでも時間をつくろうと思えるなら、引き受ければいい。・・・
 二つめの方法として、何か頼みごとをされたら、予定表を見てその日に動かせない予定が入っていたーたとえばその日は出張だったーことに気づいたと想像してみる。そのとき、君はどう感じるだろう?・・・引き受けられなくてホッとするなら、断ってしまおう。
 最後の方法として、・・・いったん頼みごとを引き受けたあとで、それがキャンセルになったと想像するだけでいい。もし喜びを感じるなら、・・・どうすればいいかはわかっているね?