著者の稲葉さん、直接お会いしたことはないのですが、すごく素敵な方よ〜といろんな人からお話を聞いてました。
本を読んで、ほんとに・・・こんな方もいるのだな〜、こんな生き方もあるのだな〜と思いました。
印象に残ったところを書きとめます。
P137
いま、私の手元には、第１章で紹介したベトナムの高僧、ティク・ナット・ハンさんが書いてくれた１枚のカードがあります。そこには、英語で「花は花以外のものでできている」と書いてあります。
たとえば、一輪の花を見ると、９割は水分でできています。その水分は、もともとは地下水が湧き出て川になり、蒸発して雲になり、雨になって地上に降り、土にしみ込んだものですから、たくさんのもののエネルギーを含んでいます。
水以外にも、花には、土の中の養分に含まれるさまざまな元素が含まれます。酸素、水素、炭素、窒素、カルシウム、リン、カリウム……。わずかなものまで入れると無数の物質が含まれています。
花がこれらを得るには、土、落ち葉の養分、バクテリア、雨、雨を降らせる雲、太陽の光、温度を調節する風、種、種を運ぶ虫や鳥……などなど、たくさんのものの力が必要です。
「花は花以外のものでできている」とは、そういう意味です。
人間も同じです。私は私以外のものでできています。あなたはあなた以外のものでできています。
たくさんの植物や動物を食べ、さまざまな成分を得て、たくさんの人や物からエネルギーを得て、あなたはできています。遠い祖先からあなたの祖父母、両親から受け継がれたものと、周囲の人や遠くにいるいろいろな人の影響とで、あなたはできているのです。
「争わない」「殺さない」という選択をするのは、すべてのものが、ほかの命、ほかのものに依存して生きているからです。・・・
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自分は自分以外のものでできているから、生きているものはお互いを大事にして、循環しながら命がつながっていく世界を保つことが、いちばん幸せで安心です。・・・
すべてのものは生々流転（万物が絶えず変化し移り変わっていくこと）して、一瞬たりとも同じところにとどまらない。常に変化して入れ替わっているから、「あなた」と「私」の境界もない。・・・
これは頭で言われて理解しようとしてもむずかしいことです。「あなたと私は同じですよ」といわれても、「違うじゃないですか」といいたくなります。けれども、そういう基本を自分の中で大切にしていると、実感としてそれがわかる瞬間が訪れ、そういう瞬間が増えていきます。
