お金の学校

お金の学校

「いのっちの手紙」の中にこの本の話が出てきて、興味を持ちました。

 坂口恭平さんが、ネット上でお金の学校を開校し、講義をしていくというものです。

 本質だなぁと思いながら読みました。

 

P18

 僕の学校では、禁止事項がありません。僕自身自分に対して、人に禁止することを禁止しています。好きじゃないんです禁止が。あれやってはいけないこれやってはいけない。こうしなくちゃいけない。みんなお金を払わなくちゃいけない。なんてことをやっていては遅くなるんですよ。

 この「遅い」ということが問題です。僕はツイキャスとnoteで学校をやっているわけですが、それだと無料で誰でもアクセスできます。ネットで新聞記事読もうと思うと、ここから先は有料です、とかよく見るじゃないですか。あれでどうなるかというと、お金を払いたくない人は先を読まないんです。そして、そこから先の方が大事なことが多いじゃないですか。

 間違ったやり方でお金を稼ごうとしている人は、そうやって課金制度を間に取り入れてしまうんですね。そうなると、どうなるか。はい、遅くなります。遅いともうだめなんですね。ここは頭に入れておいてください。遅いとだめ、めんどくさいとだめ。これはどうしてかというとお金というものが、モノではなくて「流れ」だからです。

 心地よく流れ流れていくこと。それこそ川の流れのように。それは一番気持ちいいでしょ。だから気持ちよくないことはすべてだめなんです。たとえお金がそれで入ってきたとしても、どうせすぐにダメになります。・・・

 気持ち悪いことは一切しないでください。さっそくお金の学校がはじまってますが、僕が伝えることは常にシンプルなはずです。心地いいこと、気持ちいいこと、サラサラ血行が良い感じ。あの感覚で行きましょう。

 

P67

 僕は自分の作品を作り続けるために、毎日一〇枚原稿を書いてます。この講義だってそうです。毎日一〇枚以上、昨日なんて三〇枚も書いちゃってるわけです。どうしてそんなふうに書けちゃうかというと、やりたいことだからです。僕は誰かに「こんなものを書いて欲しい」とお願いされて書くことが一番苦手です。やりたくないことです。だからそんな原稿仕事は一切排除してます。自分が思いついたことだけ書く。書きたいことだけを書くんです。だからどれだけでも書けます。とは言っても、毎日描き続けるっていうのはそれなりに大変です。書きたくない時もあるんですね。

 そういう時はどうするか?

 僕はそういう時でも書くんですね。つまり「やりたいこと」をやっている最中に「やりたくないこと」が生じた場合だけ、僕はやりたくなくてもやるようにしています。今一番やりたいことは「お金の学校」についてどんどん書くことです。でも今日はちょっとやる気がないみたいです。でも僕は書きます。もし「お金の学校」について書きたくなくなったら僕はすぐに書くのを止めます。それでも僕はきっと他のことを書くでしょう。なぜなら何かを書きたいとは思っているからです。

 そうやって、ぜひともあなたも一つずつ自分の行動を観察してみてください。心地がいいなら、流れてます。嫌になってるってことは淀んでいるってことです。やりたくないことをやらないと選択すると、その行為だけですでに「流れ」に向かっていることを意味してます。そう考えると、楽しくなってくるはずです。

 まあ厳密にしすぎてもいけませんので、サッと次に進んでいきましょう。なんとなくでいいです。やりたくないことはしない。ところが、そのことにこだわりすぎてしまうと、ただのうざいやつになりますので、バランスよくやってくださいね。何事も極端にしていいことはありません。お金は何よりバランスの世界です。自分だけ稼ごうなんて無理な話です。お金とは経済であり、つまりは流れ。しかも楽しい流れですので、楽しいとはつまり、人との関わりでもあります。もちろん、これは人だけではないんです、お金との関わり、植物との関わり、風との関わり、動物たちとの関わり、そういったあらゆる関わりを含めての関わり、これが経済なのですが、今は、経済=お金になりすぎていて、もちろんそれも真実ですが、それは真実のうちの一つです。

 経済、つまり流れは無限にあります。・・・

 ・・・

 今、人々は経済を一つの「お金の流れ」と断定してしまっています。しかし、実際はいろんな流れがあります。

 もちろん、経済もまた自然のものなのです。だから植物みたいに、切っても、別のところから生えています。人間の合理性と植物の合理性はまったく違います。植物の合理性によるツルの生え方、伸び方は人間の合理性から捉えると矛盾そのものになります。植物は切られても平気です。むしろ喜んで伸びていきます。踏まれることも切られることも腐ることも全部喜びに変えちゃいます。そんなふうに合理性もまた自然界には無数に存在してます。経済もまた然りなのです。