「ありがとう」の教科書

「ありがとう」の教科書 良いことばかりが降りそそぐ感謝の技術30

 

武田双雲さんのこちらの本も読みました。

 

P51

 人は苦手なことをし続けるのに、苦痛を感じます。

 たとえばドライヤーをかけることを「なんだか面倒くさいなぁ」と思っている人も多いでしょう。

 わたしも以前は「早く終わらないかな」と思っていました。

 髪が濡れた状態をA地点とし、乾いた状態をB地点とすると、A地点でいることに相対性な価値は低く、だからわたしは急いでB地点に行こうとします。

 しかし「早くB地点に行かなきゃ」と思うことは、未来に意識が向き、今を生きていない状態と言えます。

 B地点にたどり着くまでの過程を苦痛ととるか、感謝ととるか、どちらを選んでも「髪が乾く」というゴールは一緒です。

 この5~10分という短い時間をどう捉えるかは、自分次第です。

 であれば、髪を乾かすたびに「早く終わらないかなぁ」とイライラしながらおこなうより、感謝をしながら楽しんだほうがいいことに気づいたのです。

 こんなときに役立つのが、「聖なる〇〇」という言葉です。

 これは、どんなものでも感謝に変化させる魔法の言葉です。

 ドライヤーであれば「聖なるドライヤー」「聖なる温風」と言葉にすると、一瞬でドライヤーに対しての印象が変わります。すると、

「スイッチを入れただけでこんなに風が吹くなんて、すごいなぁ!」

「ボタンひとつで冷風と温風を使い分けるなんて、考えた人、天才だわ」

 こんなふうに、いつのまにかイライラは消えています。

 あなたが普段よく使うアイテムに「聖なる」とつけてみてください。

 家事をするときも、「聖なる掃除機」「聖なるホウキ」「聖なる包丁」と口にすると、今まで面倒くさいと思っていた気持ちが消え、感動と感謝が生まれてきます。

 


P64

 少なからず誰でも「許せない人」がいます。

 そういう人に対して感謝をしようとしても、それは無理な話です。「許す」というのは、なかなか至難の業ですよね。

 でも、許すことはできなくても、その人のことを「思う時間を減らす」ことはできます。

 というのも、わたしが世間からのバッシングで悩んでいたとき、秋元康さんにこんなふうに言われたことがありました。

「自分を批判してくる人は、自分にとって嫌な奴であることに間違いない。だったら、その人のことを思い出している時間がもったいないと思わない?わたしはどんなにバッシングされても、その人のために自分の時間を割くことは絶対にしない」

 この秋元さんの言葉は、とても印象的でした。

 嫌な人のことを考えるのは、時間とエネルギーのムダです。好きなことをして、楽しいことで自分を満たすほうがよっぽどいいです。

 なにより自分を悪く言う人のことを考えていると、自分自身が良い状態ではなくなります。

 自分の機嫌を取れるのは、自分しかいません。許せないと思う人がいたら、その人を思考のなかで追うことはやめましょう。

 また、身近な誰かに対してネガティブな感情を抱くときは、その人との距離感が近すぎる場合が多いです。

 ・・・

 人間関係は距離感が大事です。

 あなたが嫌だなと思う人も、離れることで嫌な人ではなくなる可能性が高いことを、覚えておきましょう。

 


P81

 2006年、初めて「世界一受けたい授業」というテレビ番組に出演させていただいたときの話です。

 わたしが書道の先生役をやらせていただいたのですが、生徒役のなかには昭和を代表する名俳優の高橋英樹さんと宇津井健さんがいらっしゃいました。

 ・・・

 ・・・印象に残ったのは、おふたりの撮影後の対応でした。

 ほかの出演者の方は「お疲れ様でした~」といって素早く立ち去るなか、宇津井健さんと高橋英樹さんだけは、わざわざ若輩のわたしのところに来て、

「先生、今日はありがとうございました!」

 と言って、頭を下げてくれたのです。

 その姿が本当に格好良く、まるで映画のワンシーンを見ているようでした。

 おふたりの感謝力の高さに、感動したことを今でも鮮明に覚えています。

 


P104

 感謝とは、恩恵を受けたときにだけするものではありません。

 何かを手放すときこそ、感謝することが大事です。

 ・・・

 感謝をしながら手放した先には、手放したものよりも大きなエネルギーが新しいカタチで戻ってくることを実感するはずです。

 


P126

 数年前、書道をするときの呼吸の流れをサーモグラフィで調べる、というテレビ番組の企画に出演させていただきました。

 スタッフさんふたりが試したら空気の流れにモヤモヤができたのですが、わたしが試したときはモヤモヤができず、キレイな円ができていました。

 この実験から、わたしが書道をするとき、無意識に呼吸が整っていることがわかったのです。

 ・・・

 ゆっくり息を吐くだけで、呼吸は整います。

 ・・・

 その際「祝福を吸い込んで、感謝を吐き出す」というイメージを持ちましょう。

 置かれている環境や、まわりにあるものごとに祝福をし、それに対して「ありがとう」という気持ちを込めて息を吐きましょう。

 すると祝福と感謝が体内をめぐるイメージがわきあがり、良い気が循環することになります。