星のカケラとして

この星で生きる理由 ―過去は新しく、未来はなつかしく―

 こんなイメージで生きたいなと思います。

 

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 脳は心の持ち方にも左右されるという意味で、古くから言い伝えられてきた「病は気から」ということが、科学の視点から見て、明らかにされようとしています。実は最近になって、人体の各臓器は、それぞれメッセージ物質を交換しながら全体としてバランスを取っていることが科学によってたしかめられています。さらに、分子レベルの研究では、免疫細胞に、神経からの情報を受け取る部位が発見されており、ストレスと病との関係が、明らかになりつつあるのです。つまり、気持ちの持ちようが、免疫力に影響をあたえ、病気とも深い関係があるということですね。・・・

 私自身のことでいえば、今から三年半前、癌で摘出した臓器の生体検査から、私の癌はなんと平均余命が五年のきわめて珍しい悪性癌であることが判明しました。「え~っ?」という驚きはありましたが、考えてみれば、平均余命とは統計上の数値で、五年を中心に前後の幅があるはずです。そこで、癌になった、というより、癌が見つかったといいかえて、癌と共存しながらの生存実験をしてみようと思い立ちました。・・・そこで、余命期間の先まで、毎年「……歳記念」と銘打って、私自身のイベントを企画し、公表して、みなさんに実現をお約束することを生きる目標にしました。・・・

 仏教の「諸行無常」を引き合いに出すまでもなく、原子分子レベルから日常まで、すべてはゆらぎ、変転しています。しかも、孤立した個は存在せず、他との関連において存在しています。「諸法無我」、縁起の理法、素粒子場の理論です。数学的にも、半分しか見えていない未来に夢を託して生きてみるのも、ひとつのいい生き方かもしれません。

 

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―ご病気になってそれまでと病気に対する考え方が変わったそうですね。

佐治 ・・・よく「病と闘う」という表現が使われていて、これもその通りだと思うんです。がんばろうというその意識が免疫力を強めるということもたしかにあると思うんですけど、病気と闘うとね、こっちも疲れちゃうんじゃないかと思うんです。私は疲れたくないんですね。それで病気にこう言えばいいんですよ。「私が死んだら病気君も死ぬんだからね。二人で死んじゃうのはもったいないよね。だったらしばらく一緒に生きましょうか」というのがいいんじゃないかと思うんです。・・・

 結局その根底には何があるかというと、自分の体というのは自分の所有物ではないということが基本にあります。風邪は引きたくなくても引いてしまうときはありますよね。それから今度講演があるので風邪を引いてしゃがれ声じゃ困るからと一所懸命薬を飲んでも時間が経たないと治らない。自分の体だと私たちは思っているけれど、自分の体って存在しないんですね。だから自分でコントロールできないんですよ。やはり、病気になったときは一緒に住みましょうか、というくらいの気持ちでいた方がいいんじゃないかな。もちろん辛いことは色々ありますからそんなに簡単なものではありませんが、基本的にはそれくらいの気持ちでいるのがいいんじゃないかなと思いますね。治る時期がこなければ治らないということを、もっと大げさに言ってしまえば「私の体も宇宙の一部ですからね、星のカケラですからね」ということになりますかね。