オードリーへの質問

オードリー・タンの思考 IQよりも大切なこと

 何より大事なのは「楽しむこと」、素晴らしいなぁと思いました。

 

P142

 私は一度、「なぜ学者の道を選ばなかったのか」とオードリーに尋ねたことがある。彼女の答えはこうだった。

「私はすべての時間を研究に当てていますよ。見知らぬ人同士がどのように共通価値を創り上げるか、それが私の研究テーマです」

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 ・・・冒頭で紹介した「なぜ学者にならなかったのか」という質問に対する彼女の答えには、続きがある。

「あなたの質問が『なぜ教授にならなかったのか』という意味でしたら、教授は所属している大学の学生のために精力的に力を発揮するのに対して、私が協力し、学びたいと思っている相手は世界ですから、範囲が違うのです」

 

P178

 ・・・「あなたのような考えが台湾の若者たちにも広がっていると感じる」とオードリーに伝えた。その答えはこうだった。

「私の考えも誰か他の人から来たもので、私も他の人へそれを受け渡しているのです。〝これは誰々の考えだ〟ということではなく、考え方こそが主役なのです。私たちはその考え方を継承しているに過ぎません」

 

P252

 オードリーを台湾政府に抜擢した当時の女性閣僚ジャクリーン・ツァイが、「枠に囚われずに生きている人間は、彼らに見合った舞台がそこに用意されていれば、いつでも素晴らしい能力を発揮できる」といったことを話してくれた。しかし、その舞台の見つけ方がわからない、という人が大半ではないだろうか?

 そんな漠然とした疑問をオードリーに尋ねてみた。

「私は自分の経験しかお伝えすることができませんし、他の人たちは違う方法を取っているだろうという前提でお話しします。私の行動原理はとてもシンプルで、〝自分が面白いと思うことしかしない〟ということです。たとえ大金を稼げる仕事があったとしても、面白いと思えない仕事であれば、やりません。そして面白いと思ったことがわずかしか稼げないとしても、それで飢え死にすることがないのであればやってみます。

 面白いと思いながら何かに携われる場合、私はその過程で新しい学びを得ることができ、私と一緒に仕事をしている人もそういった学びの楽しさを共有でき、彼らもまたより積極的に参加してくれるようになるからです。一方、やりたくないことを無理して行った場合はその逆ですね。ですから私にとって何より大事なのは『楽しむこと』なのです。楽しければ毎日目を覚ました時にたくさんの新しいアイディアが浮かび、最も良いパフォーマンスが発揮できるでしょう。その差は歴然です」