ごちゃまぜで社会は変えられる 地域づくりとビジネスの話

ごちゃまぜで社会は変えられる: 地域づくりとビジネスの話

 素晴らしい!と思うところがたくさんありました。

「これからの街づくりのキーワードは『混ぜる』と『シェアする』ですね」という言葉、大事だなーと思いました。

 

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 生活支援事業が根幹の事業で(収入の根幹は別です)、地域の人が集まるサロンや宿泊所を運営している話をしました。他にも、地域サロンの道路向かいにある空き店舗も借りていて、地域居酒屋(週に一回みんなでご飯)を運営しています。

 地方だと、一人暮らしの高齢者で、車の運転が可能な人もよくいます。・・・でも基本的には毎日一人でご飯を食べています。そこで、週に一回くらいみんなでご飯食べましょう。そういうところが苦手な男性の方も、週に一回くらい一緒にお酒飲みましょう。そんな場所です。

 空いている日は「シェアキッチン」にして、いろんな人に使ってもらっています。二階の使わない3部屋をレンタルオフィスにして、企業さんに入ってもらっています。なので、関わる人の数がどんどん増えていきます。これからの街づくりのキーワードは「混ぜる」と「シェアする」ですね。一つの用途にこだわるのではなく、いろいろな「あり方」を混ぜたり、シェアしていくことが重要です。

 こうして活動していくうちに、学生はますます集まってきてくれるようになりました。この辺りから、活動体験の学生が年間延べ1000人くらいに達します。その中には、もっと運営に関わりたい。参加者ではなくて、えんがおのプロジェクトの企画から一緒にやりたい、というような素敵な学生たちが出てきました。彼らを「えんがおサポーター」として位置づけ、一緒に企画などから運営するようになって、小さなコミュニティのようなものができてきました。すると、自然と出てくるニーズが「シェアハウス」です。別にシェアハウスをやろうとはしていなかったのですが、目の前のニーズに応えていく「ニーズ先行型」の組織なので、そのニーズに応えるべく、空き家を探しました。

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「・・・この辺りに、使わせてもらえそうな家、ないけ?(栃木弁)」

 とおばあちゃんたちに言いました。半日で話は広まり、一か月後、また大きな一軒家を寄付してもらいました。そうしてできたのがソーシャルシェアハウス「えんがお荘」です。安い家賃と、水光熱費などの生活費を折半するので、生活コストが抑えられます。その分、バイトをせずに自分のやりたい活動ができる。そんな魅力があります。

 ここまでの道のりが、3年半くらいですね。振り返ると、学生と高齢者を中心に、時々子どもがいたり、悩める社会人の方がいたり、けっこう楽しいコミュニティになっていました。そのコミュニティを見ていながら、僕は日に日に「ごちゃまぜ」の良さに気づいていきました。

 いろいろな世代や立場の人がいること。それが、お互いにできないことは助けてもらって、得意なことで支え合うことにつながる。「誰かの役に立つ」ことで、自分に自信をもち、少しずつ自分が好きになる。そんな景色を見せてもらったからです。

 

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 それぞれのコミュニティには「オセロの角」ポジションの人がいます。もちろん、人には上下なんてないし、みんなそれぞれ大切です。でも、コミュニティや組織の中で何かしたい、と思った時に「押さえておくと進みやすい人」が必ずいます。「この人が言うなら仕方ないか」となる人。いわゆる、そのコミュニティで影響力のある人。

 これが、僕の言う「オセロの角」ポジションの人です。

 何かを始める時ややりたいことがある時には、意図的にこの「オセロの角ポジションの人」を巻き込んでおくことが大切です。特に目新しいことをやるには、10人が10人賛成することはほぼないです。誰かが「事故でもあったらどうするの?」「〇〇になったらどうするの?」といって止まってしまうこともしばしばあるでしょう(その意見が悪いとはまったく思いません)。

 オセロで言ったら、自分が目指す色が白だとして、数人は黒になりますよね。それで、その時に角(影響力のある人)が白でいた方が話が通りやすいですよね。これは話で聞くとすごく当たり前に聞こえるかもしれませんが、これを逆算してスタート時から意識することは少ないと思います。

 だからこそ、何かを始める時、変えたい時には最初に意識してください。自分のやりたいことにとって角のポジションは誰か。その人はどんな人で、何を望んでいるか。どうしたら自分の目指したい方向性を応援してくれるか。地域でも家庭でも会社でも、同じことが言えます。全員賛同は難しいからこそ、影響力のある角のポジションの人からの応援は、なるべく早くもらっておくといいです。

 ・・・次は、大切な人から「応援される方法」について話します。そしてこれは、どの環境でも使える、人間関係の超大切な話です。

 

 それは、ずばり「相談する」です。これだけ。

 

 イメージしてみてください。あなたが何か地域を盛り上げる活動をしたいとします。例えば、地域で「全世代ごちゃまぜの運動会」を開くとしましょう。何から始めますか?

 多くの人は、たいていチラシをつくって配ったり、挨拶して回ったりします。「運動会やるのでよろしくお願いしまーす」みたいな感じですね。しかし、これだと相手からしたら「行ってみたいけど勇気が出ない」「応援したいけど、どう応援したらいいかわからない」「そもそも誰??」が本音だと思います。ここで重要となるのが「相談」です。

 まず最初に「相談」してください。必殺のセリフは「運動会をやりたいのですが、どうしたらいいと思いますか?」です。「運動会やりますので、よろしくお願いします!」ではダメなのです。

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 えんがおでも、何か始めるときには必ず相談することを心がけています。つい最近面白かったのは、飲み会の席でのこと。商工会議所の方に、「街中にベンチを増やしたい」「ベンチ設置数日本一!のような場所をつくれたら面白いと思う。どう進めたらいいでしょう」という相談をしました。

 すると、「市内の大きな通りなら目立つ。えんがおだけではなくて、商工会議所やまちづくり会社も巻き込んでやったほうがいい」と教えてくれました。確かにそれは面白そうかも。と思っていた翌日に電話が。「商工会議所内部と、まちづくり会社に話を通しておいたから、動いて大丈夫だよ」とのこと。仕事早や。

 どうでしょう?もちろん、商工会議所の方が地域のそういった活動を応援する気持ちをもっている方なのは大前提です。出会いに恵まれました。ただ、「ベンチ増やす活動します!よろしくお願いします!」であった場合と「ベンチ増やしたいです。どういうふうに進めたらいいでしょうか?」の場合の違い。イメージ湧きますでしょうか。

 これは、僕の経験上の話でもありますが、たくさんのうまくいっている人の話を聞いていて、気づいた共通点でもあります。

 ・・・自分たちだけでは、何かを変えることはできないみたいです。全部の意見を聞く必要はないけれど、「相談をする」という行為が大切なのだと思います。