サイエンスとスピリチュアルのあいだ

サイエンスとスピリチュアルのあいだ (ワニプラス)

 天外伺朗さんと前野隆司さんの対談本、興味深く読みました。

 

P76

天外 ・・・私が今、天外塾でお伝えしていることは、ほとんどすべてがこの実存的変容に関わることなんです。・・・

 ・・・

前野 天外さんの言う実存的変容は、いわゆる「悟り」とは違うんですよね。

 

天外 ええ。・・・実存的変容は、悟りに比べたらずっとずっと手前の意識レベルです。それでも、多くの人ができない。なぜかと言うと「変容したい」という意識の裏側には「今のダメな自分を変えたい」という自己否定があるからです。しかもその先に悟りとか、聖人のようになりたいという願望があったりする。でも実存的変容は聖人になることではなく、ドロドロのダメダメな自分をさらけだせるようになることなんです。だから変容すると、以前よりもダメな人間になったように見えることもあります。

 ・・・別の言い方をしますと、普通の社会生活で身につけてきた方法論は役に立たないんです。・・・

 ・・・実存的変容において「目標をつくって一生懸命努力する」のは「神様の計画を邪魔する」ことなんです。・・・余計なことをする必要はない。だから、もっと手放して、宇宙の流れに乗っていけばまともな人生が歩めますよ、と言っているんです。

 

P228

天外 私がやっているオリジナルの天外塾は6か月のセミナーで、基本的には経営者が対象です。そこで最初に出す宿題は、これです。

 

 行動しない。

 考えない。

 判断しない。

 コントロールしようとしない(自分も他人も)。

 装わない。格好をつけない。

 

 半年間、経営者としてこれを実行してもらう。通常ならば「経営者が必ずするべきことだ」と思われていることをやめてもらうんです。

 ・・・

 だから、ほとんど拷問なんです。

 

前野 ははは。

 

天外 この課題はこれらをやめて、代わりに感じる、見る(観察する)、聞くに集中していただくためのものです。みなさんびっくりして最初は「なんだなんだ⁉」と困惑するんですが、やっていくうちに行動(doing)のマネジメントから存在(being)のマネジメントへと変わっていきます。これが実存的変容に基づいた経営改革のポイントなんです。

 

P232

天外 ・・・カナダインディアンの大長老ウィリアム・コマンダ・・・アシリ・レラさんというアイヌの女性長老を彼に紹介したことが縁になり、・・・大切なフィロソフィーを教えてもらいました。

 ・・・

 ・・・「すべてに感謝して生きていると、感謝するようなことしか起きない」と言ったんです。

 ・・・

 つまり、我々がトラブルに見舞われたり、運が悪いと感じたりするのは、全部自分でつくっていることに過ぎないんだな、と思えるようになった。だから無意識レベルをクレンジングする。無意識レベルを整えていくと、外で起きることも整うということですね。