生きてるって、幸せ

生きてるって、幸せー! Love &Peace (Peace編)

 田口ランディさんのエッセイを読みました。

 

P52

 一時期「子どもは褒めて育てる」という内容の本が売れて、親が子どもを褒めるようになった。この「褒める」というのが「いいことをしたときに褒める」のでは、褒めたことにならない。それは、やっぱり評価の一種なのだよね。

 良いことをすると褒められるから、褒められるようにがんばってしまう。その結果として褒められない自分ってダメなんだ、と感じてしまう。

 私も子育てをしてきて、さんざん子どもを評価してきた。うちの子にも劣等感がある。その劣等感が青年期になると顕著になる。子どもの劣等感を目の当たりにしたとき「あー!ごめん。それは私の劣等感だね」と思った。

 私にも劣等感があった。親の劣等感は形を変えて子どもに受け継がれていく。

「ごめん、それはお母さんの劣等感なんだよ。だからあなたが背負わなくていいから」

 と言ったら「えっ?」と子どもはびっくりしていた。

「お母さんが人の評価を気にしていたの。それで怒ったり、褒めたりしたの。あなたはピカピカで生まれてきたんだよ」

 丸ごと大好き。子育てはそれでよし。

 

P124

「生きてるって、幸せー!」やたらとストレートなタイトルに決めたのは、このタイトルを口にするたび「生きてるって、幸せー!」と、脳に刷り込めると思ったからです。

 ・・・担当記者さんも校正のたびに「生きてるって、幸せー!のゲラが上がってきました」って、笑いながら連絡をくれました。連載中に何回「生きてるって、幸せー!」と言ったでしょうか。もう数え切れません。脳はそのたびに「ふーん、コイツ幸せなのか」と認識し、きっと脳内に幸せを感じたときの物質を出してくれたんじゃないかな。

 ・・・

 ・・・思いこみこそすべてです。人生はどう思いこむか、にかかっているのです。思いこんだらそれが現実になります。だって私の脳のなかで私は生きているのだから。ありがたいことに、自分に起きてしまったことを「良い」と思うか「悪い」と思うかは、自分で決められます。

 いろんなことがあります。人生、山あり谷ありです。誰の人生だって同じです。困難が続くこともあります。大切な人が死んでしまうこともあります。およそどんなことでも起こりえます。それが人生。神様の視点で見たら(お会いしたことはないけれど、もしお空に神様みたいな人がいると仮定しての話しです)、誰もが限られた生をいっしょうけんめいに生きている。その大事な生に「良い」も「悪い」もあるわけない。ああ、みんな尊い、みんな愛しい、そう思っているに違いありません。

「良い、悪い」「幸せ、不幸せ」を判断しているのはそれぞれの脳です。大した根拠はないのです。常識に照らし合わせたり、周りの人と見比べたり、テレビで見知ったことを基準にしたり、そうやって「幸せ」と「不幸せ」を分けているのです。

 ・・・

 みんな尊い、みんな愛おしい。

 Love&Peaceって、なんだか古くさくてダサい感じだけど、言うのはタダだから堂々とタイトルにしてしまいました。