ローランドさんの本、2冊目も面白かったです。
「アイディアを追わない」って大事だなと思いました。
P35
何かを始めるにあたって、しっかりと事前準備をしてリスクを考えることは大切なのかもしれない。
だが残念ながら、どれだけ事前準備をしようが、失敗するリスクがゼロになることなんて絶対にない。
それに、失敗を恐れて準備を続けているうちに、チャレンジする機会を失ってしまうこともある。
これは、俺が独立したばかりの頃のこと。
俺はホストクラブをオープンするにあたり、相場の3倍以上の初期コストをかけた。
こだわりが強すぎるがゆえに、広告費や内装費、人件費などなど……。
気づいたら膨大な金額になっていた。
先輩経営者達からは、
「普通、最初からこんな金額はかけないよ」
「どうやって回収するの?」
と、冷笑された。
でも、俺には勝算があった。
妥協した店は作りたくなかったし、独立時の注目度を考えたら、ローランドの新店はどんなものかと、絶対にいいお客様が日本中から来てくださるはずだ。だったら、リスクを恐れてコストをかけず、低クオリティでガッカリされるより、膨大なコストをかけてでも、「さすがローランドの店だ」と言わせたほうが、顧客獲得につながるはずだ。そんな信念があった。
それがいかにクレイジーな金額だったか、今の俺ならわかる。
確かに、俺はコストをかけすぎていた。
でも、結果はどうだったか。
そのこだわりが功を奏して、1年目から驚異的な大成功を収めたのだ。
それも、周りが驚くほどの。
もし俺が信念を曲げていたら、もし俺がいろいろなことを知りすぎていたら、リスクを恐れて相場の適正額でこぢんまりスタートしてしまっていただろう。
そうしたら、あの成功はなかったかもしれない。
このように、知らないということが、武器になることだってある。
そう思えば、勇気が湧いてくるはずだ。
P77
みんなは何か考えごとをするときに、どんなことをしているのだろう?どんな時にひらめくことが多いのだろう?
俺は以前、何か考えごとをしたいとき、アテもなくドライブをしたり、時計の音を聴きながら暖炉の火を眺めたり、時にはシガーを吸ったりしていた。
だが最近の推しは、「散歩」である。
・・・
人は、無意識に欲が出てしまう生き物。
ついつい何かいいアイディアを!と「追いかけたくなってしまう」ものだが、それでは良い発想は浮かばない。
だから、「突き放す」のだ。
その「突き放す」ということに関して、散歩はとても有効なのである。
歩くときには音楽を聴いたり、いいひらめきが降りてこないかな?などと下心を出したりしない。
何も期待せず。ただただ歩く。
少し暖かくなってきたな、こんなところにこんなカフェがあったんだ、今すれ違った人とても素敵だな、そんなことを、ただただぼんやり考えながら歩く。
そうすると、思いもよらなかった斬新な発想達が、俺の頭の中に突然降りてくる。
言葉達もそうだ。
こんな言葉、素敵だな、この比喩表現ならとてもわかりやすいのでは?
歩いている途中、そんなひらめきが降りてくる。
そんなひらめきを、ただメモ帳に書き留め、そしてまた歩く。疲れたら帰る。
ただそれだけ。それ以上でも以下でもない。
別になんのひらめきが降りてこなくても、それはそれで構わない。ただ歩くだけでもリフレッシュになるのだから。
何かクリエイティブな作業をするときに、ヒーリング音楽を流し、アロマを焚き、空調を完璧にして、よし!何かいいアイディアを出そう!と思ってもなかなか捗らない人は、ひらめきを追いかけすぎて逃げられているのかもしれない。
アイディアはシャイな女性と一緒。
下心を出して追い回したって、逃げられるだけだ。
君がアイディアに行き詰まったときは、いったん考えることをやめて、ただただ散歩をすることを是非一度試してみてほしい。