気をつかいすぎてしまう人だからこそ、選手一人ひとりのことがよく見えるのかなと・・・
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Q23 自分のこと、大好きですか?
自分のこと大好きなんだろうと思っているでしょ。でもそうでもないんです。好きなのは、みんながやってこなかったようなことを、自信を持ってやって、成功させている自分。
嫌いなのは、細かいことがやたらと気になるところ。この間も、夜にあるお店でご飯を食べていたら、9時55分になった。僕は、その店が10時閉店だと知っているから、もうソワソワしてしまう。5分や10分は気にしないでいいという人もいるかもしれないけど、店の人に悪いじゃないですか。それでトイレに行くふりをして会計をして、10時前に店を出るようにみんなに声をかける。
気をつかいすぎるところがあるんですよ。だから大勢で食事をしたりすると疲れる。どうしてもみんな僕に話しかけてくるんだけど、そうするとポツンとしている人が出てくるじゃないですか。それがダメなんですよ。その人に向けて話しかけなきゃと思って、それをどんどん繰り返していって、最後にはグッタリ。だから最近はなるべくそういう場所は避けるようになりました。気にしなければいいんですけどね。それができない。そういう自分は好きじゃないです。
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2022年、ファイターズの選手には、徹底的に個人プレーにこだわってほしいと思っている。常に自分が主役、自分が決めるんだという気持ちで試合に臨んでほしい。・・・
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プロ野球選手は、個人事業主だ。彼らのすべてのプレーは、チームの査定担当がチェックし、年俸に反映される。最近は、ランナーを進めるようなチームバッティングも評価されるようだが、そればかりでは打率も上がらないし、給料も上がらない。ヒーローになることもないから、メディアにも取り上げられず、知名度も上がらない。
チームのためにと進塁打を打つくらいなら、自分のために、自分が稼ぐためにヒットやホームランを狙ってほしい。そのほうが断然チームに勢いが生まれる。結果的にダブルプレーになったとしても、僕はそれを責めたりしないし、それがマイナス査定にならないように担当に伝えるつもりだ。
僕は、打率や防御率のような数字だけで選手を見分けることはしない。止めたバットに当たったボテボテの内野安打より、会心のピッチャーライナーに可能性を感じる。ホームランを打たれたとしても、気迫と力が乗ったボールを投げたピッチャーには、次のチャンスを与えたいと思う。そんな監督なのだから、チームバッティングだからと進塁打を打っても評価は上がらないことを選手には理解してほしい。
チームのためのプレーをしてほしいときは、ベンチからサインを出す。それ以外のときに自分から率先してチームプレーをするような選手に僕は魅力を感じることはできないだろう。
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選手それぞれの強みや見せ場がある。バットコントロールが巧みな選手、とにかく遠くまで飛ばすことができる選手、足の速さは誰にも負けない選手、ストレートが速い投手、キレキレの変化球を投げる投手……そういう選手たちが自分の強み=個性を発揮してくれれば、チーム力は必然的に上がる。チームプレーなんかしない。監督のサインもない。それでもどんどんヒーローが生まれるようなチームになれば、本当に魅力的だ。僕はそういうチームを作りたいと思っている。