1週間で8割捨てる技術

1週間で8割捨てる技術

 一度すっきりしても、生活しているうちに少しずつ不用品が溜まっていく…このジャンルの本をたまに読むと、その気になれるのでありがたいです(笑)

 

P24

 捨てたいのに捨てられなかったものには、共通点があることに気づきました。

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 ・・・「これを買うと、なりたい自分になれると思って買ったモノ」。それを私は「野望ガラクタ」と呼んでいます。

「野望ガラクタ」はとても捨てにくいです。なりたい自分になるために購入したので、それを捨てることは自分の希望や夢を捨てる決意をするようなものだからです。

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 ですが、そもそも「何かを捨てたい」と思うということは、「もうこれは必要ない」と答えが自分の中で半分出ているのだと思います。それなのに、実際に捨てようとすると、「いや、これを捨てるわけにはいかない。だって……」とさまざまな言い訳が思い浮かびます。執着が言い訳を生み。決断ができなくなってくるのです。

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 モノを捨てられないとき、口にする言い訳にはパターンがあると思います。・・・それは、こんな言い訳です。

 

 言い訳1|いつか使うかもしれない

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 もともと人間には、モノを失うのをすごく嫌う気持ち(損失回避)と、いったん何かを所有すると、その品物の評価を理由もなく高くしてしまう心理(授かり効果)があります。ともに行動経済学の理論です。

 今まで存在を忘れていたモノでも、一度手にしてしまうと、この心理が働きます。・・・

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 人によって捨てられないものはさまざまです。しかし、「いつか使うかもしれない」の「いつか」は絶対来ないとよく耳にします。私の体験でも、そんな「いつか」は来たことがありませんでした。

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 言い訳2|人からもらったモノだから

 

「人にもらったモノを捨てるのは、くれた人に申し訳ない」

 そんなふうに思って、使ってもいないし、自分の趣味でもないモノを溜め込んでしまうことがあります。たしかにいただきものは捨てにくいですね。

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 ただ、人からもらったモノを「捨てたい」と思っているなら、そのプレゼントは自分にとって重荷や邪魔になっているのではないでしょうか?心の負担になっているモノは、たぶん今後も使うことはないはずです。

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 言い訳3|思い出の品だから

 

 私はぬいぐるみなどのかわいいものが好きで、昔からたくさん集めていました。とくに思い出のこもったものは捨てにくいものでした。

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 ですが、今の私は、思い出の品を捨てることに、さほど抵抗はありません。・・・

 モノは単なるモノであり、思い出は心の中にあるものですよね。・・・

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 人が記念品をとっておく理由は、手に入れた経緯や象徴する出来事を忘れたくないからです。思い出の品はよくも悪くも過去の象徴です。素敵な思い出がいっぱいあるのは素晴らしいことです。

 私の娘も、昔バレエを習っていたときに履いていたトゥシューズをまだ持っています。・・・自分のがんばりを表しているものは、私たちを勇気づけ、気持ちを和ませてくれます。だからこそ大事です。

 ただ、あまりに数を持ち過ぎたら、それはもう、「素敵な思い出の品」から、なんだかわからないけど雑多なモノたちの一つになってしまうと思うのです。

「大事な思い出の品」と言いながら、段ボール箱に入れて物置やベッドの下に押し込んでいたりしませんか?・・・

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 思い出の品がスペースを取り過ぎて、今の暮らしを楽しめないのは、もったいない気がします。やはりいちばん大事なのは、今この瞬間の生活だと思うのです。

 

 言い訳4|これ買ったとき高かったから

 

 たとえばこんなケースです。

 昔、京都で買った友禅の着物は40万円でした。1度着ただけで、その後はずっとタンスに眠っています。

「捨てたいけど、捨てられない。だって、高かったの」

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 こういう「もったいなくて捨てられないモノ」を捨てずにそのまま持っていたら、はたして何が起きるでしょうか?

 まず、大きな物なら場所をふさいで邪魔になるでしょう。小さな物でも、それを目にするたびに、「40万円も出したのに、着ないなんてもったいない」「こんなムダ遣いしてしまって、私、バカよね」と自分を責めて、後悔で胸が痛みます。

 お金はともかく、罪悪感や後悔は心を重くします。たとえ買ったとき高かったものでも、使っていないなら、今すぐ捨てたほうが結果的には「ずいぶんお得」なのです。

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 ・・・いろいろ理由をつけて、人は捨てることを先延ばしにします。

 しかし、こうした心理の裏にあるのは、つまるところ、「失うのが怖い」という恐怖心なのではないでしょうか?

 何か一つでもモノを捨てると、今の生活が変わってしまう、今の暮らしを失いたくないと無意識に恐れているのかもしれません。

 今の暮らしを失いたくないというのは、変わりたくないという気持ちでもあると思います。変わりたいけど変わるのが怖いのです。

 だから逆に、変わりたい気持ちが強いなら、モノを捨てるべきだと思います。

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 今の暮らしに満足しているか?幸せを感じているか?

 もし、今の生活に満足しているなら、無理にモノを捨てることもないと思います。ですが現状に不満があって、もう少しこうだったらいいなという気持ちが少しでもあるなら、自分を変える第一歩として、モノを手放すことをおすすめします。

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 じつは、今の暮らしをもっとよい暮らしに変えるためにいちばんいい方法は、現状を壊すこと。そうするために、「モノを捨てること」は素晴らしい効果があります。

 恐怖心を乗り越えて、使っていないモノを捨てれば、解放感が得られ、新しい世界が広がります。その先には心の平安があるでしょう。