不安や恐怖への対応について、その通りだなと思ったところです。
こちらはヒロミさん。
P88
小休止を経て今の僕が不安への対処法として思うことは、2つ。
1つは必ず逃げ道を作っておくこと。「意地でもこの仕事を続けなくては」「家のローンが」「自分がいないと職場に迷惑がかかる」と固執して、逃げ道を塞いでしまうとどんどんしんどくなっていく。
「手放すって選択肢もある」「意地を張らなくていい」「家を売ったらローンはなくなる」「自分がいなくても職場は意外と大丈夫」と、いつでも逃げ道があることを意識しておけば、気が楽になる。
もう1つは、周りの人の力を信じることだ。うちのママは、バラエティ番組に出てトークをすることになると、「どうすればいい?」と不安になる。そんなとき、「別にママにおもしろいことを言って欲しいとは誰も思っていないから。普通に話したら、司会者、共演者、バラエティ班のスタッフがおもしろくしてくれるから」と言っている。
実際、仕事は何でもそう。自分一人が引っ張っていると思っていても、実は誰かが助けてくれて成り立っている。
不安が大きくなってしまったら、「不安が大きくなってどうしたらいいかわからない」と言ってしまえばいい。必ずサポートしてくれる人が現れる。
「全部なくなればいい」となる前に、逃げ道と人の助けを使ってうまく小休止してほしい。
こちらは藤田さん。
P138
私が楽観的に見えるとしたら、24歳で会社を作り、経験を積んできたことでリスクを計算できるようになったからだと思います。でも未経験のことに挑むときは、悲観的になることもあります。暗闇の中で先が見えない状態と同じで、恐怖を感じるからです。
ただ、暗闇の中でジャンプしなければ、新しいことに挑むことはできません。・・・
では、暗闇の中でジャンプするために何が必要なのでしょうか。
棋士の羽生善治さんは勝負に勝つ秘訣について、「楽観はしない。ましてや悲観もしない。ひたすら平常心で」と言われていました。
初めてこの言葉に触れたとき、強く共感したのを覚えています。
私は取材や講演で「良い波に乗るコツは?」と質問されると、「波に乗っても踊らされないことです」と答えています。「会社が苦しい状況をどうやって切り抜けたのですか?」だったら、「ひたすらじっと耐えていただけです」と言い、「経営者に一番必要な能力は?」と聞かれれば、「忍耐力じゃないですか」と答えます。
聞き手にとっては盛り上がりに欠けると思いますが、大事なのは楽観でも悲観でもなく平常心です。平常心を保ち、耐えながら続けていける人が成功するのだと思っています。