小休止のすすめ

小休止のすすめ 運を呼び込む「人生の休み方」の極意 (SB新書)

 ヒロミさんと藤田晋さんの共著です。

 それぞれの考えが交代で提示される構成で、興味深い内容でした。

 

こちらは藤田晋さん。

P70

 人間の心理として、一度始めたことをやめるには抵抗があるものです。「もう少しで頂上が見える」という時点で天候が悪化したからと下山するのは、勇気のいる決断です。

 事業も似ていて、一度始めると当事者はもちろんのこと、その上司も社長も途中でやめる判断がなかなか下せなくなります。・・・たくさんの人を巻き込んでしまっているからです。

 そして、それまで投じてきた資金、時間、情熱といったさまざまなサンクコストを肌身に感じて、「次の一手が当たるのではないか」「次の問題解決で好転するのではないか」とギャンブル依存症の患者のようにずるずると撤退を先送りしがちです。

 すると、損失の規模が読めなくなり、致命傷の範囲に突入する可能性が出てきます。・・・

 その点、予め「これを満たせなければ撤退」という下山のルールを定めておけば、「ルールだから仕方ないよ」と社長である私も抗えない力を発揮してくれるのです。

 個人の人生も同じです。ずっとうまくいく人生なんてあるわけがありません。

 ・・・勝ったり負けたりを繰り返しながら進むのが人生でしょう。いいときもあればうまくいかないときもあります。個人的な感覚として、10戦するなら6勝4敗でいいくらいだと思っています。4つの負けをいかに小さくスムーズに下山するか。それが6つの勝ちを大きくすることになります。

 

こちらはヒロミさん。

P73

 ・・・いろんな仕事をしてきた。期間もまちまちで、その業界のことを詳しく語れるわけでもない。ただ、1つだけはっきり言えることがある。

 それは「どんな仕事でも必ず理不尽なことが起きる」ということだ。

 ・・・僕は、不良時代を経た人の方が社会に適合しやすいと思っている。八王子で過ごした10代の間に学んだのは、上下関係、グループの中での協調性、周りをよく見て空気を読んで行動するセンス。どれを欠いても先輩からえらい目に遭わされる。

 不良はいいかげんに生きていると思われがちだが、内側のルールは厳しい。完全な縦社会で、理不尽な先輩の要望にも応えないといけない、でも、そういうのは社会に出てからの方が、山ほどある。だから10代の経験は本当に役立った。

 ・・・

 理不尽な扱いを受けて会社を辞めることにしたとしても、筋は大事にした方がいい。もう辞めるんだからいいだろう……と後ろ足で砂をかけるような真似をすると、必ずいつか自分も同じ目に遭うことになる。理不尽なことをしてくる会社でも、お世話になった人には筋を通す。

「辞めることになりましたが、ご恩はいつまでも忘れません」と。そんなひと言が添えられるかどうかで、未来は変わる。